武庫川学院創立85周年記念出版シンポジウム「武庫川女子大学 その歩みと展望」を開催しました。
2026/11/07
2027年4月に皆学し、「武庫川大学」となるのを前に、武庫川女子大学の歴史を総括する武庫川学院創立85周年記念出版シンポジウム「武庫川女子大学 その歩みと展望」が11月7日、中央キャンパスメディアホールで開催され、卒業生や教職員ら約140人が参加しました。
母体となる学校法人「武庫川学院」創立から2024年で85周年となる節目にあたり、今年7月に発行した記念誌『武庫川女子大学 その歩みと展望』をもとに、執筆に携わった本学の教職員が登壇。創設者・公江喜市郎先生が女子教育に挑んだ思いや、13学部21学科の総合大学に発展した歴史を振り返り、新たな武庫川大学の未来を展望しました。
開会にあたり、女性活躍総合研究所の中尾賀要子所長が「自校史と向き合うことで、先人が何を大切にしてきたか、私たちは何を受け継ぎ、何を未来に伝えていくかを考える機会にしたい」と挨拶しました。
記念誌に寄稿した二人の研究者からのメッセージも紹介されました。「新制大学制度の起点と武庫川女子大学の出発」(第Ⅰ部第2章第1節)について執筆した寺﨑昌男氏(教育学・高等教育史・大学史)からは「学生が自分の大学について知るために自校教育は重要」、「高等女学校と良妻賢母思想」(第Ⅰ部第1章第2節)を執筆した小山静子氏(教育学・女子教育史)は「女子教育は男子と同等に、という一方で差異を求める二つの方向性に引き裂かれてきた」と指摘しました。
基調講演では、記念誌の執筆者の一人で本学元教授の山﨑洋子氏が、公江喜市郎先生が女子教育を志した原点について、研究成果を発表しました。これまで公江先生は県視学時代の欧米視察の際、イギリスのケンブリッジやオックスフォードの教育に感銘を受け、私学を志したとされてきましたが、それらは男子校であったのになぜ女子教育なのか、という謎がありました。山﨑元教授は「当時流行していた自学主義への批判と女子教育への期待があった」との仮説を立て、あらためて欧米視察の行程を詳細に検証。現地に通って一次資料を探った結果、「イタリアの女性教育家・チヴィタと出会ってその教育精神に感銘を受け、さらにロンドンの教員養成カレッジや公立小学校で女性教員たちが生き生きと働いている姿が目に焼き付き、具体的な展望につながったのではないか」と語りました。
また、国内外の女子大学に関する調査研究を行ってきた安東由則教授が、武庫川女子大学の歴史的変遷を解説。戦後1年で開学した女子専門学校を足掛かりに大学を開き、その翌年に開設した短期大学に学生が殺到して発展を支えたこと、薬学部の開設や小学校教員養成課程の設置において、常に女子大学の先陣を切ったことなどを振り返り、「社会の状況を的確にとらえ、他に先駆けて実行していくのが本学のDNAであり、共学化もこうした先手、先手の伝統のうえに立つもの」と指摘しました。
第2部では『「武庫川大学」に継承するもの―学院創立100周年への展望ー』と題し、本学教職員が座談会を行いました。
司会を上田和子名誉教授が務め、髙橋享子学長、教学局長で健康・スポーツ科学部の中西匠教授、文学部の羽生紀子教授、看護学部の清水佐知子教授、心理・社会福祉学部の増田和高准教授、武庫川学院の稲積包則企画部長が、創立85周年記念誌の読みどころや武庫川大学のこれからを語り合いました。
稲積部長は、少子化で直面する大学の厳しい未来をひらくのは「社会人へのリスキリングとリカレント教育、留学生の獲得」と分析。増田准教授は「共学でも女子大でも教育の本質は変わらない。武庫川女子大の教育成果は、武庫川大学でも同じで全学的にダイバーシティを考えていく契機にできれば」と訴えました。
看護学部の清水教授は、1期生が母校の修士課程に入学した事例を引き合いに、「臨床現場で働き、研究者マインドを持って学ぶ卒業生が出ている。学部から大学院へ、社会人に開かれた大学にしたい」と話しました。文学部の羽生教授は、「これまでの武庫女教育を否定するのではなく、包み込み、伝統を取り込んでほしい」と語りました。中西教学局長は、「新しい大学では、健康・スポーツ科学科が男子学生の多いトップランナーになると思う。武庫川女子大学短期大学部時代のファミリー感、チーム力を出していければ」と述べました。髙橋学長は「創立85周年記念誌は、創立100周年に向けたタイムリーな出版物になった。武庫女のアイデンティティ、ブランド力をあげ、関西を代表する総合大学に向けて邁進していく。領域架橋の研究も光らせていきたい。学生が誇りを持ち、在学生、卒業生がこの大学で学んでよかったと思える大学づくりに尽力したい」と語りました。








