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「先生の研究力―武庫川学篇②」 生活環境学科 伊丹康二教授(建築計画学) #郊外住宅地 #公共施設 #ウェルビーイング

2026/10/30

大規模ニュータウンの変遷や公共施設の再編、あるいは商業施設のあり方など、研究テーマは多岐にわたるが、根底にある考えは一貫している。「まちは専門家が作るのではなく、住民こそが主役」。そこに暮らす人々が「わたしのまち」と思える地域づくりだ。

 

その原点は、自身が生まれ育った大阪・千里ニュータウンにある。子どもの頃から当たり前だった風景が、実は「特殊な街」であったと大学で学んだ。そして何より、学生時代に参加した「千里ニュータウンの再生を考える市民100人委員会」での体験が大きな転機となった。街の未来を真剣に語り合う住民たちの熱量に圧倒され、関心の対象は「建築そのもの」から「住民の力」へとシフトしていった。

 

武庫川流域に位置する三田市のウッディタウンでは、約15年の施設変化を追跡調査した。着目したのは住宅地内の店舗だ。開発当初からあったクリーニング店などが減少する一方、医院などが自然発生していく営みに、時代に応じた「自己表現の可能性」を見出した。また、宝塚市郊外における空き家研究では、戸建て住宅を住宅、庭、車庫に分けて活用することで、近隣住民の自己表現になりうると期待を寄せる。いずれの研究も、既存空間を住民の自己表現の場として活用することで、「わたしのまち」と思えるきっかけになると考えている。

 

さらに、公共施設を「使う場所」から「関わる場所」へと意識転換させる実践にも取り組んできた。例えば豊中市のスポーツ施設では、災害時を想定したキャンプイベントを仕掛けた。楽しみながら場を共有することで、「ここに来れば、自分も何かできるかもしれない」という実感を広げていく。公共施設を「わたしの場所」へと変えようとする試みだ。

 

ニュータウンの研究から始まり、様々なフィールドで調査研究や実践を行うなかで一つの確信がある。「郊外住宅地を単体で成立させようとすることには無理がある。武庫川流域というマクロな視点で俯瞰すれば、福祉や教育、環境共生といった他分野との交わりの中に活路を見出せる」。武庫川とウッディタウンの間に広がる農地もそのひとつだ。「農業に携わる人たちと一体的に捉え直せば、新しい郊外生活の楽しみ方が見出せるのではないか」と、意欲を見せている。

 

 

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