お知らせ
日本スポーツ心理学会の学会企画シンポジウムにおけるシンポジストとしての登壇(田中美吏教授)
9月26日(金)~28日(日)に同志社大学京田辺キャンパスにて日本スポーツ心理学会第52回大会が行われました。9月27日(土)に行われた学会企画シンポジウム「科学と実践現場のモヤモヤ:結果が出せるスポーツ心理学」では、健康・スポーツ科学科の田中美吏教授がシンポジストとして登壇し、話題提供を行いました。「実践⇔研究の成果とモヤモヤ」の演題で、田中教授自身やスポーツ心理学研究室のこれまでの様々な研究の成果を交えながら、実践と研究の融合を図ることへのいくつかの提案がなされました。
スポーツと国際協力 ― 健康・スポーツ科学科初期演習で元青年海外協力隊隊員による特別講演を開催
健康・スポーツ科学科では、1年生必修科目「初期演習Ⅱ」において、「スポーツと国際援助」をテーマとした特別講演を実施しました。本授業は、学生が自らのキャリアを考え、学問領域の広がりに気づくことを目的のひとつとしています。
今回のゲストは、青年海外協力隊として南米(エルサルバドル・アルゼンチン・チリ)で卓球指導に携わった志積恵子さん。卓球歴30年を誇る「パワフルウーマン」として、60代で初めて海外に渡ったその挑戦と経験を熱く語っていただきました。
講演では、3か国での指導経験をスライドや映像を交えながら、ユーモアたっぷりに紹介。
刺激的な海外生活のエピソードを交えつつ、言葉が十分に通じない状況でも写真や図を活用し、「寄り添う姿勢」こそが成果につながると力強く語られました。
さらに「語学が堪能でなくても人とつながることはできる。まずは一歩踏み出すことが大切」と強調されました。
また、志積さんは「スポーツには国境を越える力がある」とし、常に好奇心を持ち、行動に移すことが成長につながると繰り返し伝えられました。
その情熱とエネルギーに学生たちも引き込まれ、熱心に耳を傾けていました。
健康・スポーツ科学科では、こうしたキャリア形成や国際的なフィールドに視野を広げる体験を1年次から大切にしています。
今回の講演は、学生にとって将来の選択肢を考え、この後の大学生活の指針を得る大きなきっかけとなりました。
今年度最後の健康スポーツ科学部オープンキャンパスを開催しました
9月21日(日)、今年度最後となる健康スポーツ科学部オープンキャンパスを実施しました。
健康・スポーツ科学科からは鳥塚之嘉教授が登壇し、「スポーツ現場における救命活動」をテーマに講義を行いました。競技中に突発的に発生する心停止や重大外傷への対応は、アスリートの生命を守るうえで欠かせない知識と技術です。鳥塚教授は、実際の授業で学生たちがAEDを用いた心肺蘇生法や外傷時の応急処置をどのように学んでいるかを紹介し、現場で迅速かつ的確に行動できる人材育成の重要性を強調しました。
スポーツマネジメント学科からは久富健治教授が、「ハイブランドとスポーツの融合」をテーマに講義をしました。一見するとスポーツと関わりが薄いと思われるファッションのハイブランドが、なぜスポーツの世界に参入するのか。そこには、新しい市場や若年層ファンの獲得、ブランド価値の拡張といった明確な戦略が存在します。例えば、世界的高級ブランドがスポーツイベントやアスリートとコラボレーションする事例を紹介し、ファッションとスポーツが交わることで新しい文化的価値が生まれることを解説しました。
当日は、直前に迫った「MUKOJO未来教育総合型選抜入試」に関する相談や、高校1・2年生による進路・学びに関する相談ブースも活気にあふれました。
今年度のオープンキャンパスは今回で終了となりますが、次回は2026年3月から新たにスタートします。
健康スポーツ科学部では、学科の特色や学問領域の魅力をみなさまに体感いただけるよう、来年にむけて企画を練ってお待ちしております。ぜひご参加ください。
論文掲載のお知らせ!(スポーツ心理学研究室)
スポーツ心理学会が発刊する「スポーツ心理学研究」に以下の資料論文が早期公開されました。
論文タイトル:ソフトボールの守備場面におけるプレッシャー下での思考に関する質的研究―失敗後のパフォーマンスの成否に着目して―
著者:細野桃子、田中美吏、三森裕希子
以下のURLからPDFをダウンロードすることで読むことができます。
健康科学連携教育フォーラムを開催 ― 卒業生講演と3学科連携の学び
9月16日、公江記念講堂にて「健康科学連携教育フォーラム」が開催されました。本フォーラムは、本学のカリキュラム「初期演習Ⅱ」の一環として、健康・スポーツ科学科、食物栄養学科、健康生命薬科学科の1年生を対象に実施されたもので、学長による方針説明ののち、3学科の卒業生が登壇し、自身の学びとキャリアについて講演しました。
進行は、本年度の担当学科である健康・スポーツ科学科の中西匠学科長が務めました。
健康・スポーツ科学部卒業生の秋田さんからは、アスリートを支えるトレーナーとなる道筋とやりがいとともに、選手を取り巻くコーチ・医師など多様な職種との協働の重要性について、現場での経験を交えながら熱意あるお話をいただきました。学生にとっては、まさしく今の自分と同じ心情・環境から一歩を踏み出し、自ら道を切り開いた先輩の姿に触れることで、大きな勇気と将来への具体的なイメージを得る貴重な機会となりました。
また、食物栄養学科卒業生の出立さんからは、食品会社で展開される多様なプロジェクトの実例が紹介され、栄養士として幅広く関わる業務の中で、本学での学びや学友会活動の経験が活かされていることが示されました。
健康生命薬科学科卒業生の實松さんからは、治験業界に携わる現場紹介とともに、学生時代に培った行動力からなる国内外での多様な経験が現在のキャリア形成につながっていることが語られました。
今回のフォーラムは、卒業生から直接学ぶことを通じて、学生が将来を考える大きな一歩となっただけでなく、健康・スポーツ科学科、食物栄養学科、健康生命薬科学科という「健康」を共通のテーマとしながら異なる専門性を持つ3学科が幅広い視点から健康を探究し、連携して学ぶことの意義を実感できる取り組みとなりました。
大阪・関西万博のステージで、健康・スポーツ科学部の学生がインクルーシブダンスを披露しました。
大阪・関西万博のEXPOアリーナ「Matsuri」で8月7日、キッザニア主催イベント「こどもミライ祭り」が開かれ、健康・スポーツ科学部の学生が大阪府内の特別支援学校の児童生徒らとともに、万博のオフィシャルテーマソング「この地球の続きを」にのせて、インクルーシブダンスを披露しました。
こどもミライ祭りは、こどもの職業・社会体験施設「キッザニア」を運営する「KCJ GROUP」が主催するイベント。5月に本学との包括連携協定締結を機に、スポーツマネジメント学科の豊永洵子講師、健康・スポーツ科学科の村越直子教授の学生有志が「TEAM EXPO Danceアンバサダー」に任命され、障がいの有無にかかわらず楽しめるダンスの振り付けを考えてきました。
当日、学生たちはピンクのTシャツに身を包んで笑顔で登場。ステージ下で、キッザニア甲子園のダンスチーム「Zany8」とともに、観客に振り付けのレクチャーを行いました。大人もこどもも一緒に笑顔で、テーマソングの歌詞にあわせて身体を揺らし、温かい雰囲気に包まれました。
迎えた本番では、ステージにミャクミャクも登場。約100人が盆踊りやスイカ割りといった夏を連想させる動きを取り入れたインクルーシブダンスで会場を沸かせました。4年の佐藤彩音さんは「大変だったこともありましたが、この活動はかけがえのない貴重な経験となりました。本番では子どもたちが楽しそうに踊る姿を見ることができ、とても嬉しかったです。みんなで楽しく踊ることができて大成功です」と話し、4年の山本有希さんも「一人ひとりが主役になれるような場作りに挑戦しました。毎回の連取うでもレクリエーションを通したコミュニケーションを行い、本番ではともに笑顔で楽しく踊ることができ、お客さんも一体となって、楽しい雰囲気を作ることができました」と語りました。最後は、踊ったみんなで楽屋で記念撮影をして、達成感に包まれました。
京都明徳高校「みらい社会SLスポーツマネジメントコース」1年生が来訪 ~スポーツマネジメント学科にてミニオープンキャンパスを開催~
9月12日、京都明徳高校「みらい社会SLスポーツマネジメントコース」1年生66名(男女)が本学を訪れ、スポーツマネジメント学科によるミニオープンキャンパスを体験しました。
昼食には本学カフェテリアを利用していただき、その後、学科教員をファシリテーターとして関心テーマ別のワークショップを実施しました。
ワークショップでは、
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国際マラソン大会を例にしたスポーツイベントの企画
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スポーツメーカーを題材にしたブランディング戦略
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TikTokを活用した新たなマーケティングによる顧客開拓
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地域産業とスポーツを結び付けた活性化の取り組み
といったテーマごとにグループで分かれ、教員と生徒が共に企画を練り上げました。最後には各グループが成果を発表し、充実した学びの時間となりました。
今回のプログラムは、大学での学びの一端を高校生に体験してもらうことを目的に、学科教員がそれぞれの専門性を活かして工夫を凝らしたものです。
参加した生徒のみなさんは、スポーツマネジメント分野の多様な可能性に触れ、将来のキャリアを考える貴重な機会となったことと思います。
Dance Reserch LABO(豊永・村越ゼミ)小中学生ダンスコンクールにてアトラクションを企画実施しました
Dance Reserch LABO(豊永・村越ゼミ)小中学生ダンスコンクールにてアトラクションを企画実施しました。
朝日新聞者主催小中学生ダンスコンクール西日本大会において、豊永・村越ゼミ所属学生が、審査待機の間に行われる「アトラクション」を企画実施いたしました。
ゼミ生で創作したダンスを披露した後、会場の子ども達と小ールアンドレスポンスとして一緒にダンスを踊りました。
企画リーダーを務めた田邉友菜さん(新健4年)は「会場全体がダンスで繋がる空間をつくり出せたと思います、子ども達から『楽しかった』という感想をもらえたことが何より嬉しかったです」と感想を述べました。
第3回・第4回オープンキャンパスを開催しました
8月9日(土)・10日(日)、武庫川女子大学オープンキャンパスを開催しました。
8月9日(土)— 晴天の中、多くの来場者が参加
健康・スポーツ科学部では、両学科の説明に続き、健康・スポーツ科学科の坂井和明教授がスポーツコーチング分野におけるゼミ活動を紹介。学生による研究事例発表も交えながら、「心配だからこそ練習し、準備する」という現実を説明し、心配性と感じる人こそ優れた選手やコーチになれる可能性があると語りました。また、負けたくないから努力する「損失回避志向」に関する学生の研究も披露されました。
スポーツマネジメント学科からは穐原寿識准教授が「スポーツマーケティング」をテーマに講義。ファンをいかに増やすかがスポーツマーケティングの要であることを示し、その実践例としてゼミで行った商品開発プロジェクトを紹介しました。学生たちは企画から販売までを一貫して経験し、マーケティングの実務を学びました。
8月10日(日)— 荒天の中でも充実したプログラム
この日は朝から線状降水帯の影響で荒れた天候となりましたが、多くの参加者が訪れました。スポーツマネジメント学科の工藤康宏教授は、スマホによる意見入力や投票をリアルタイムで反映するアプリを活用し、サブスクコンテンツについて考えるワークを実施。マネジメント分野がツーリズムやレクリエーションなど幅広い領域を含むことを紹介しました。
健康・スポーツ科学科の田中美吏教授は「スポーツと心」をテーマに、本学のスポーツ心理学講義で扱う内容を紹介。色がモチベーションやパフォーマンスに及ぼす影響など、参加者の興味を引く事例を取り上げました。
参加者の声
参加者からは、
「大学でこういう学びができると思うとワクワクした」
「スポーツが好きという気持ちを多様な視点で活かせることがわかった」
といった感想が寄せられました。
次回オープンキャンパスのご案内
年内のオープンキャンパスは、9月21日(日)開催の第5回が最後となります。学生・教職員一同、皆さまのお越しを心よりお待ちしています。
健康・スポーツ科学科中堀ゼミが全国高等学校女子硬式野球選手権大会でコンディションサポートブースを開設
- 2025年7月19日から8月2日まで開催された「全国高等学校女子硬式野球選手権大会」の丹波市会場において、健康・スポーツ科学科 中堀千香子准教授ゼミが、昨年に続きコンディションサポートブースを開設しました。
女子硬式野球は近年競技人口が増加し、注目度が高まっているスポーツです。本大会の決勝は阪神甲子園球場で行われ、本学も大会協賛校として取り組みを支えています。
蓄積脱水予防をテーマに幅広い対象へ啓発
今年のブースでは、昨年度の参加時に、トーナメントを勝ち上がり連戦となったチームで熱中症の発症者が見られた経験を踏まえ、大会期間中に特にコンディションに影響があると考えられ注意が必要な「蓄積脱水」に焦点をあてました。対象は選手にとどまらず、連日応援に訪れる保護者や観客、さらに審判員まで広げ、予防啓発を実施しました。
丹波市は先日も全国最高気温を記録するなど暑さで知られています。
大会期間中も連日厳しい暑さが続き、暑熱対策はコンディション維持の鍵となりました。
ブースでは、非侵襲の推定ヘモグロビン測定によって脱水リスクを推測し、その結果をもとに適切な水分補給方法や塩分摂取の必要性、日常的な体調管理のポイントを資料掲示や口頭説明で発信しました。
また、ゼミでは大会期間中、球場内のWBGT(暑さ指数)をモニタリングし、データを収集しました。
これらの測定結果は、大会運営や丹波市と協議し、今後の暑熱対策における安全対応指針の作成に活用する予定です。
武庫川女子大学は丹波市と包括連携協定を締結しており、学生に地域課題解決の実践的な学びの場を提供しています。
この活動は、学生が現場で課題を発見し、解決策を企画・実践する学びの場となっており、地域や大会運営との協働を通じて、専門知識を社会で活かす実践力を磨く機会にもなっています。
大学院生の中間報告会が開催されました!
大学院健康・スポーツ科学研究科では、7月19日(土曜日)に大学院2年生2名の中間報告会を実施しました。一人は現職中学校校長(本学卒業生)で、もう一人は競技スポーツ選手の現役アスリートです。それぞれの研究テーマは職場の課題やスポーツ競技力向上という自分自身に直接関係がある興味深い内容でした。多くの先生方からの前向きな指導により、質の高い修士論文の作成に繋がる有意義な時間でした。
4年生には大学院進学という選択肢がある!
現在の日本では、売り手市場で就職率が良くなってきています。その一方で、就職後の早期離職率も社会問題になっています。後者では何が問題なのでしょうか。学生の皆さんには、就職後も自分の能力の伸ばして長期的にやりがいのある仕事ができる職場を見つけて欲しいと思っています。そのためには、大学院に進学をして自分の専門性を高めつつ、やりがいのある就職先をじっくり考えるという選択肢もあると思います。健康・スポーツ科学部では、就職活動という道と大学院で学ぶという選択肢があります。
さて、7月16日(昼休み)に大学院健康・スポーツ科学研究科の入試説明会を行いました。説明会には15名が参加し、そのうち4年生は5名、3年生が10名でした。ちなみに大学院の6月入試では、健康・スポーツ科学科の4年生が1名合格しています。
健康・スポーツ科学部では、皆さんに大学院のことをもっと知って欲しいと考えており、今後も大学院の入試並びに学びの内容について積極的に説明会を実施していきます。次回は後期の9月を予定しています。
【特集インタビュー】 この4年間、すべてはATになるために 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー資格試験 現役合格
健康・スポーツ科学科・保科永美さんの挑戦
2025年3月、武庫川女子大学 健康・スポーツ科学科を卒業した保科永美さん。彼女は、在学中に日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)資格試験に挑み、筆記・実技ともに現役合格を果たしました。この快挙は、競技活動と学業を両立しながら、高い目標に向かって努力を重ねてきた4年間の証でもあります。
アスレティックトレーナー(AT)を志した理由、学びへの姿勢、実技試験直前の葛藤、そして支えてくれた人たちへの感謝——。その歩みと想いを伺いました。
「自分と同じ苦しさを、減らしたい」
― ATを目指した原点と強い情熱
保科さんがアスレティックトレーナーを目指した理由は明確でした。きっかけは、自身のサッカーやフットサル経験の中で繰り返し見てきた「怪我」でした。
「フットサルが大好きでしたが、自分も何度か怪我で苦しみましたし、仲間がピッチに戻れず悔しい思いをしている姿もたくさん見てきました。『なんでこんなに怪我するのか』『どうやったら治るのか』という疑問がずっとあって…。同じような辛さを抱えている人たちを、少しでも支えられる存在になりたいと思うようになりました」
“怪我をする側”から“支える側”へ。その思いは、彼女の進路選択にも一貫して現れていました。関西でAT資格を取得できる大学であること、そして全国レベルで活躍する女子フットサルクラブ「ARCO 神戸」で活動できること。その両方を叶える環境が武庫川女子大学にあったことが、進学の決め手となりました。
「授業は、すべてATにつながっていた」
― オンラインでも揺るがなかった初志と学びの姿勢
大学生活のスタートは、コロナ禍によるオンライン授業。思い描いていたキャンパスライフとは異なる状況でしたが、彼女のモチベーションは高く、学びの質を落とすことはありませんでした。
「入学直後から、“この4年間でATを取る”というゴールが頭にありました。だから1年生のときから、授業を『試験のための準備』として逆算して捉えていました。機能解剖や運動生理、障害・外傷のメカニズムなど、すべてがATに直結すると感じていて、聞き逃せない授業ばかりでした」
教科書や資料を読み込みATになるための知識を積み重ねていく日々。目標が明確だったからこそ、学びに対する姿勢が一貫していたといいます。
「これだけは、今しかできないと決めた」
― 筆記試験対策と、その先にある葛藤
3年次からは、対面授業とAT対策の実践的な学びが本格化。過去問を解いてみて初めて、「このままでは到底間に合わない」と実感しました。
「今までの“知っているつもり”が、実際には“解けない”という現実に突きつけられて…。過去問で合格点に届かない自分に焦りを感じました」
4年生の夏、彼女はある決断をします。フットサルの活動を一時休止し、筆記試験対策に集中するという選択でした。1日5時間以上、毎日机に向かい、過去5年分の問題を3周以上。間違えた問題はすべて教科書に立ち返り、正解と不正解の理由を一つ一つ確認しました。
「“やれるだけやって落ちたら仕方ない”って言えるように、全部やり切ろうと決めていました。何の後悔も残さないように」
筆記試験の合格通知を手にしたとき、喜び以上にあったのは「次は実技…どうするか」という葛藤でした。
「一歩踏み出すか、先送りするか」
― 実技試験受験を決めた“覚悟”と直後の負傷
筆記試験の合格後、次に控える実技試験。その受験を対策して半年先に延ばすか、残りわずかな冬休み期間に全力で取り組むか——悩みに悩んだ末、彼女は後者を選びました。
「“今が一番、ATにむけて集中できる時期”だと思ったんです。社会人になると、時間の制約や環境の変化でモチベーションが保てなくなるかもしれない。学生時代は自分のために時間を全振りできる時期。自分の目標を叶える4年間として過ごしたはず。だからこそ、“今やる”と決めました」
しかしその矢先、復帰していたフットサルの練習中のアクシデントで負傷。年明けすぐに手術と入院が必要となり、実技試験に向けた準備はゼロからの再スタートとなりました。
「最初は“すぐ戻れるだろう”と楽観していたのですが、現実は違いました。生活そのものが制限され、正直絶望しました」
そんな彼女を救ったのは、入院先で出会ったリハビリ担当のAT保持者の先生でした。リハビリを受けながら、自らの怪我と向き合い、指導動画や試験資料をひたすら視聴・書き起こしする日々。退院後、試験まで残された時間はわずか3週間でした。
「支えてくれる人が、必ずいる」
― 仲間、先生、家族への感謝と実技試験本番
保科さんは大学に戻ると、教員や友人の協力を得て、実技練習に集中的に取り組みます。
「“時間がないから無理”ではなく、“時間がないからこそやるしかない”と思って取り組みました。先生方が時間を割いて指導してくださったこと、仲間が、モデルや練習相手として協力してくれたことには、本当に感謝しています」
さらに、地元を離れて一人暮らしをしながら頑張る保科さんを、4年間ずっと見守り、遠くから応援し続けてくれた家族の存在も大きな支えとなりました。
「離れていても、いつも気にかけてくれて、支えてくれていた家族にも、本当に感謝しています」
試験本番では、思わぬ失敗や想定外の課題もありました。
「最初の失敗で逆に緊張が解けたんです。“ここから全部やりきろう”と気持ちを切り替えられたのが大きかったですね」
そして、見事実技試験の合格通知を手にしたのです。
「自分にしかできない形で、アスリートを支えたい」
― トレーナーとしての今とこれから
現在、保科さんは治療院で働きながら、女子サッカーやフットサルチームへの帯同を目指し、準備を進めています。
「関西ではまだ女性ATが少なく、女性アスリートが安心して相談できる環境が十分とは言えません。だからこそ、私自身がその一人として現場に立ちたいと思っています」
将来的には、地域の女子チームのサポートを通じて、「女性アスリートがもっと自由にプレーできる環境づくり」に貢献していきたいと語ります。
武庫川女子大学で得た「人生の礎」
― 「支えてくれる人がいたから、ここまで来られた」
「大学で出会った先生方、仲間、実習でお世話になったチームのトレーナーや病院でお世話になったトレーナーの皆さん…多くの方々の支えがあったからこそ、今の自分があります」
「特に大学の先生は、私の状況をきちんと聞いた上で、“どうすれば合格できるか”その最善の方策を常に一緒に考えてくれました。先生と出会えたことは大きく、自分ひとりでは絶対にできなかった。武庫川女子大学で学べて本当に良かったと思います」
後輩たちへ
― 「できるかできないかは、やってから決めてほしい」
最後に、これからATを目指す後輩たちへ、率直なメッセージをいただきました。
「今の自分の状況だけで“無理”と決めつけないでほしい。私は“努力すれば結果が出る”という実感を、これまでの経験で持てていました。だからこそ、“そこまでやったうえで判断しよう”と思ってやりきれたんだと思います」
「AT資格は簡単なものではないけれど、最初から“やる”と決めて、4年間コツコツ積み上げていけば、現役合格も決して夢ではありません。自分の目標に正直に、諦めずに進んでください」
教員より
― “本気の姿勢”が導いた合格
「“できるか”ではなく、“やりきるか”」
保科さんの挑戦は、この言葉に尽きるかもしれません。ATという難関資格に挑む中で、最初から最後までブレずに努力を積み重ねた4年間。その姿勢は、後輩たちにとって大きな指標になるでしょう。
松本裕史教授と田中美吏教授の共著論文がスポーツ産業学研究に掲載されました!
結婚・妊娠・出産・育児といったライフイベントは、女性の生活パターンだけでなく身体活動にも大きな影響を与えます。世界規模の調査では、母親となった女性の約3分の2が定期的な運動から離れてしまうという報告があり、これは日本においても見過ごせない課題です。
本研究では、子育て世代の女性を対象に、定期的な運動の実施に影響を与える要因を明らかにすることを目的としました。特に、未就学児の養育状況と運動実施に関する心理社会的要因のどちらが、運動習慣により強く関連するのかを検証しています。
松本裕史・田中美吏(2025)女性における未就学児の養育が定期的運動実施に及ぼす影響-心理社会的要因に注目して-.スポーツ産業学研究.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sposun/35/3/35_3_255/_article/-char/ja
健康・スポーツ科学科 松本ゼミの学生がキャリアセンターと連携して「ながらヨガ」講習会を開催しました!
健康・スポーツ科学科 松本ゼミでは、実践を通じて課題解決力を育むPBL(Project-Based Learning)型授業に取り組んでいます。今回はキャリアセンターとの連携により、「ながらヨガ」講習会を開催しました!
プロジェクトテーマは「若年女性の運動・身体活動支援」。松本ゼミの調査から、女子学生の多くが就職後の体力に不安を抱えていることが明らかとなりました。その解決策として着目したのが、ミズノ株式会社が提案する「ながら運動」。日常生活や仕事の合間に無理なく取り入れられるユニークなエクササイズです。
ゼミ生はこのコンセプトをもとに、ヨガと組み合わせたオリジナルプログラム「ながらヨガ」を開発。講習会当日は、多くの参加者が会場に集まり、学生によるインストラクションのもと7種類のヨガポーズを体験しました。
参加者からは「体がぽかぽかして気持ちよかった」「継続開催を希望したい」といった感想が寄せられ、大盛況のうちに終了しました。
2025年度第2回オープンキャンパスを開催しました
2025年7月13日(日)、第2回オープンキャンパスを開催しました。
健康・スポーツ科学部では、健康・スポーツ科学科とスポーツマネジメント学科の特色ある学びや将来の進路について、両学科長より詳細な説明が行われました。
続いて、それぞれの学科における教育・研究の取り組みを紹介するプログラムが実施されました。
スポーツマネジメント学科からは、穐原寿識准教授が登壇し、「サービスを維持するマーケティングの仕組み」をテーマに、ゼミで取り組んでいるスポーツによる地域活性化の実践例をご紹介いただきました。
特に、甲子園地区のスポーツブランディングを高めるためのSNS発信や、企業・自治体との産学連携を通じて、学生が主体的に社会と関わる力を養っていることが紹介されました。また、当日はゼミ所属の学生2名も登壇し、自らの取り組み内容や活動に対する想いについてクロストーク形式で語ってくれました。
健康・スポーツ科学科からは、玉腰和典講師が登壇し、保健体育教員養成に関する学科の取り組みについて紹介しました。
実際に教育現場での実習を経験した学生の感想として、「子どもたちが運動をできるようになる喜びを共有できる指導に、教員としてのやりがいを感じた」との声も紹介されました。加えて、教員採用試験に向けた学科独自の支援体制やサポート内容についても説明がありました。
参加された高校生・保護者の皆さまからは、学科の学びが実社会とどのようにつながっているかを具体的に知ることができたと、たいへん好評をいただきました。
次回のオープンキャンパスは、8月9日(土)[第3回]、8月10日(日)[第4回]に開催予定です。
いよいよ本格的な受験校決定の時期となってまいりました。学科の学びや入試制度、学生生活の雰囲気を実際に体感していただける貴重な機会です。ぜひ本学に足を運び、ご自身の目で確かめてください。
皆さまのご来場を、教職員・学生一同、心よりお待ちしております。
国立台湾師範大学・林伯修教授による特別講義及び交換留学説明会を実施しました
本学部では国立台湾師範大学(NTNU)スポーツ・レクリエーション学院(大学院・学部)と「交換留学プログラム」を締結しています。これによって、大学院生及び学部生から毎年2名が交換留学をすることができます。
本年3月に訪台し学生交流を実施した渡邉昌史ゼミ主催により、NTNU・林伯修教授(スポーツ社会学博士)をお迎えして、2025年7月9日(水)15時30分から特別講義「スポーツの記号消費」を開催しました。講義後には、同大学への交換留学についての説明会も実施しました。
出席したみなさんの日頃の学びからの興味関心、そして交換留学への期待感から質疑応答が続き、終了予定時刻を30分以上もオーバーするなど、非常に有意義な機会となりました。
なお、スポーツマネジメント学科3年生1名(渡邉ゼミ)が本年9月から半年間、NTNUへ交換留学生として派遣されます。
健康・スポーツ科学科の中堀ゼミが女子フットサルチーム「アルコ神戸」のフィジカル測定を実施
健康・スポーツ科学科准教授の中堀千香子ゼミでは5月18日、日本女子フットサルリーグ所属の強豪チーム「アルコ神戸」を本学に迎え、2025シーズン開幕直後の選手を対象としたフィジカル測定を実施しました。
アルコ神戸は2008年に神戸市で創設され、日本女子フットサルリーグの初代女王に輝いた実績を持つ日本を代表する女子フットサルクラブの一つです。全国大会でも数々の優勝を重ね、「神戸の街をフットサルで盛り上げていく」をモットーに、地域に根ざした活動を展開しています。
今回の連携は、クラブに本学科の在学生が所属していること、また監督が本学卒業生であることを背景に実現しました。全国トップクラスで活躍する女子アスリートを対象に、学生が直接支援に関われるという貴重な実践機会であり、学生にとっては、学内で学んだ理論を現場で生かす実践教育の場となりました。
測定では、スピード・アジリティ、ジャンプ力、間欠性持久力など、競技パフォーマンスに直結する体力要素を、本学のリソースである専用測定機器を活用して多角的に評価。ゼミ内では、事前に測定方法やデータ処理法を綿密に検討し、選手へのフィードバックまで見据えて準備を重ねてきました。当日は、測定・機器操作・記録・説明まで、すべてを学生が担当しました。
今後は、シーズンを通じての定期的な測定とフィードバックを継続的に実施する予定です。選手の体力や運動能力を客観的に把握し、怪我の予防やトレーニング内容の最適化、コンディショニング管理に貢献していくことが期待されます。学生からは「より効率的な運営」「計測精度のさらなる向上」といった前向きな課題も挙がっており、継続的な活動の中で質の高い支援体制の構築を目指して取り組んでいきます。
坂井教授が令和7年度 兵庫県高等学校体育研究会 神戸支部研修会で「みんながボールに触れるパスを使ったバスケットボールの攻撃づくり」を紹介しました
武庫川女子大学 健康・スポーツ科学科専門教育科目「バスケットボール」の授業で行っている実際の授業内容の一部を、現場の高校の先生にお伝えしました。
「ガイダンス, シュート*3, 審判法, 1stリーグ戦, パスを使った攻撃*5, 2ndリーグ戦, スキルテスト 」という授業の流れの中の「パスを使った攻撃*5回」の部分を取り出し、授業で実際に配布しているプリントを使いながら研修を行いました。
バスケットボールのゲームで「どう動いたらいいか・どこに動いたらいいか・いつ動いたらいいかわかならい」生徒達に、先生は「何を」「どんな順番で」「どうやって」教えていったら「自らバスケットボールらしく動けるようになるのか」について、プリントを使った知的な理解と、3on3や5on5を使った実践的な理解の両面から90分間研修しました。
「未来へパス」
「バスケットボールは恋愛力」
などのキャッチコピーも健在です^^;
パスの本質である「受け手が主役」を体得するためにオーディションと称したアピール合戦では、大の大人が思いっきり弾けて主役の座を争って大声を出しあう姿も見られ感動でした!
パス&ランを加える場面では、パッサーが「好きです!」と告白し、それを受けてリターンパスする側が「私も!」とパスを戻したり、「ごめんなさい!」ってパスフェイクから自分でシュートしたり…普段女子大で恋愛をメタファーにして遊んでる内容もそのまま実施しましたが、皆さん本気で大人の告白してました^^;
今日はバスケットボールが専門ではない先生方もたくさん参加されていましたが、最後の5対5ではしっかりと「バスケットボールらしく」動けており、普段授業で学生に伝えている内容が、実際の学校の授業の中でも十分に応用できることがわかりました!
健康・スポーツ科学科1年生が丹嶺学苑で日帰り研修を実施
武庫川女子大学健康・スポーツ科学科の1年生が、初期演習Ⅰの授業の一環として、神戸市北区にある丹嶺学苑研修センターにて日帰り研修を実施しました。新緑がまぶしい季節、自然豊かな山間に位置する研修センターは、整った設備と開放的な空間が魅力で、本学科にとって毎年大切な学びの場となっています。本研修はAB組・CD組の2クラスに分かれて日程を調整し、それぞれが恵まれた環境の中で貴重な体験を積みました。
午前中は、野外クッキングとして「飯盒炊飯」と「カレーづくり」に挑戦。役割分担を行い、声を掛け合いながら協力して調理を進める中で、協調性やチームワークの大切さを学びました。火おこしや火加減、手際の良さが問われる作業でしたが、健康・スポーツ科学の学生にとっては協調性は得意分野。楽しみながら取り組み、それぞれのグループが個性豊かなカレーを完成させました。
午後からは、健スポ学科らしいスポーツ交流プログラムを実施。AB組は晴天のもと、ドッジボールなどのクラス対抗競技に大いに盛り上がり、仲間との一体感を深めました。一方、CD組はあいにくの雨に見舞われましたが、室内でのアクティビティを通じて、室内とは思えないほどの運動量と熱気で盛り上がり、活発な交流が行われました。
今回の研修では、共同作業やスポーツを通じて、仲間意識を育み、集団の中での自分の役割について考える良い機会となりました。参加した学生からは「クラス全体の雰囲気がより良くなった」「キャンパスの生活に慣れが出てきたり疲れも出てきたところだったので、非日常の環境で楽しい学びを経験してリフレッシュでき、残りも頑張ろうと思えた」といった声が寄せられ、学びと友情が深まる思い出深い一日となりました。