透析食のオリジナルレシピのコンテスト「第5回バイエル・レシピコンテスト」で、食物栄養学科の学生チームがグランプリと準グランプリを獲得しました!

　食物栄養学科の学生が考案した、透析治療を受けている患者向けのレシピが「第5回バイエル・レシピコンテスト」(主催:バイエル薬品株式会社)の教育部門でグランプリ、サポート部門で準グランプリに選ばれました。表彰式は3月10日に東京で行われます。

　このコンテストは、自分自身で食事を調理している患者を対象とした「患者部門」、患者の食事に関するサポートをしている家族や栄養士・管理栄養士を対象とした「サポート部門」、そして、栄養士・管理栄養士を目指している学生を対象とした「教育部門」の3部門で構成されています。応募作品は、選考基準である「一食のバランス」「栄養管理」「独自性や創造性」「手軽さ」「レシピにまつわるエピソード」「活動内容」(サポート部門のみ)に則って審査が行われ、部門ごとに「グランプリ」「準グランプリ」「佳作」の受賞作品が決まります。

「透析日でも手軽に作れるレシピ」で教育部門のグランプリを受賞
　教育部門でグランプリを受賞したレシピを考案したのは、福田也寸子准教授ゼミ4年生の上田裕加さん、市川理那さん、浅面美希さん、大北梨乃さん、橋本知代子さん、藤原あすみさんの6人です=写真左=。

　教育部門の応募には、レシピテーマが設定されています。今回のテーマは「透析日でも手軽に作れるレシピ」。本学のチームが制作したレシピは「お鍋や炊飯器で簡単に作れるいなり寿司ごはん」「カラフルな塩麹焼き鳥―手作りたれを添えて」「ナスの和風詰め物焼き」「生姜冷やしあめ寒天」=写真中の左側=です。

　上田さんたちは、今回のレシピのテーマ「お手軽」とは、患者にとってはどのようなものかを確かめるため、透析クリニックでの研修を申し出て、患者の生の声を聞くためにアンケート調査を行いました。調査の結果、患者にとっての「お手軽」とは、調理時間が短く、作り方が簡単なものと考えている人が多いことが分かりました。

　透析の治療を受けている患者の食事には、エネルギー量を確保しながら、塩分やたんぱく質、カリウム、リン、水分の量を少なくすることが求められます。主食の「いなり寿司」は透析日の体がだるいときでも簡単に作れるように鍋や炊飯器で調理し、「塩麹焼き鳥」は塩麹など話題の調味料も使い方や使う量を守れば使用できることを提案しました。「ナスの和風詰め物焼き」には、天かすを使用し手軽にエネルギー量を確保するのに便利だということ、デザートの「生姜冷やしあめ寒天」は、水分制限のある患者でも甘い物を楽しめるように工夫されています。

　リーダーの上田さん=写真左の右から2番目=は「実習期間と重なって大変でしたが、いい経験になりました。ぜひ、後輩にも挑戦してほしい」「制限を守るだけでなく、食事を楽しめるような献立作りができる管理栄養士になりたい」と話しました。


実際の栄養サポートを参考に、サポート部門で準グランプリを受賞
　サポート部門で準グランプリを受賞したのは、鞍田三貴准教授ゼミ4年生の高橋祥子さん、竹田愛美さん、今井聡子さん、山下真奈さん、織原茉祐花さん、亀井こずえさんの6人と=写真右=、大学院生の内田絢子さん、山田恵理子さんの計8人です。

　サポート部門のレシピは、朝・昼・夕食の一日分のレシピを考えます。高橋さんたちが考案したのは、朝食が「アップルシナモントースト」「トマトカップエッグ」「コーヒー」、昼食に「ドライカレーの彩り野菜添え」「ヨーグルトスムージー」=写真中の右側=、夕食に「手まり寿司」「野菜のかき揚げ」「なすときゅうりの塩麹漬け」「梅酒」というものです。「カレー」はルーだけでなく、ご飯もドライカレーにしています。カリウムの量を考えて、「ヨーグルトスムージー」にはみかんの缶詰を使用し、食欲増進のために「梅酒」を食前酒に選びました。

　鞍田准教授の研究室は、実際に透析病院で栄養サポートを行っています。高橋さんたちは「食べたいものや食べたいけれど我慢しているもの」について、患者にアンケートを行いました。その結果、カレーや寿司という回答が多く、今回のレシピが誕生しました。どのメニューも透析患者のために、たんぱく質・リン・カリウム・水分の量が考慮されています。

　指導した鞍田准教授は「将来的に病院で勤務する際にも、今回の経験を生かし少人数でもチームを組み団結して、患者さん一人ひとりに合った栄養指導を行っていってほしい」と話しました。