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「子どもみんなプロジェクト」のキックオフシンポジウムを開催。子どもたちの成長や発達を社会全体で考える契機に。

2016/02/16

 武庫川女子大学など全国の9大学が連携して、問題行動など子どもの発達に関する諸問題について、研究者と教育現場が連携してプラットフォームを構築し、解決策を探るプロジェクト「子どもみんなプロジェクト」のキックオフシンポジウムが1月30日、糸魚川学長はじめ9大学の総長・学長らが出席して文部科学省で開かれた=写真左=。

 初めに同プロジェクト会長の片山泰一・大阪大学大学院連合小児発達研究科長が「深刻化、複雑化する子どもたちの問題は、これまでの経験則での対応では立ちいかなくなった。解決のためには科学的な根拠が必要になった。研究者と教育現場がともに考えていく連携体制の構築が求められる」と取り組みの主旨を説明。国際会議のため当日参列できなくなった馳浩・文部科学大臣はビデオメッセージでプロジェクトへの国としての期待を伝えた。

 基調講演「子どもの発達と教育システム」では、元文化庁長官で武庫川女子大学客員教授の玉井日出夫・公立学校共済組合理事長が、取り組みの方向性と当面の課題として、「子どもの発達問題にかかわる研究者や教育者がそれぞれの垣根を越えて、研究成果や教育実践を共有することが必要であるとし、研究成果や教育実践の収集・検証によるデータベースの構築、いじめや不登校などへの予防や支援のための教育プログラムの開発、教員研修のためのカリキュラムの開発が必要」と述べた=写真中=。
 
 教育現場の意見として、長谷川博之・埼玉県秩父市立尾田薪中学校教諭は「狭い経験のみに頼った場当たり的な指導では、子どもの特性に対応できない。すればするほど悪化を招く。科学的な知見に裏付けられた効果のある指導を行うことがスタンダードになれば子どもは救われる」と強調した。

 研究者の意見として、武庫川女子大学教育研究所子ども発達科学研究センター長の河合優年教授は、西宮市との連携で実施してきた子どもの追跡調査を例に挙げ、「子どもの発達的な変化の過程とそのメカニズムを解明することは、発達心理学の使命ともいえる。発達過程が明らかになると、ある子どもが次にどのような状態になるのか予測できるようになる。また、変化がどのような仕組みで起きるのかが分かると、子どもに適切な支援を行うことが可能になる」と話し、一人ひとりを見守る続けることの重要性を強調した=写真右=。

 プロジェクトは2014年7月の文部科学省「情動の科学的解明と教育等への応用に関する調査研究協力者会議審議」の提言を受け、同省の委託事業として実施され、子どもの発達と教育について基礎研究と実践活動を行ってきた大阪大学=基幹校、金沢大学、浜松医科大学、千葉大学、福井大学、鳥取大学、弘前大学、兵庫教育大学、武庫川女子大学の9大学と文部科学省、兵庫県、西宮市など関係自治体の教育委員会との連携で進められる。

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