卒業生の田村ふみ乃さんが短歌の「中城ふみ子賞」で大賞を受賞。
2016/09/08
本学の卒業生、田村ふみ乃さん(1999年、国文学科=現:日本語日本文学科卒業)が短歌の全国公募展「第7回中城ふみ子賞」で大賞を受賞しました。田村さんは、50首の連作からなる「ティーバッグの雨」で働く女性の心情などをうたい評価されました。短歌を詠み始めて5年、2度目の応募で見事、大賞に選ばれました。
中城ふみ子賞は北海道・帯広出身の歌人、中城ふみ子(1922~54年)の没後50年を記念して2004年に創設され、隔年で選考が行われています。
また田村さんは、所属している短歌結社の「まひる野」(本部・東京)の「第61回まひる野賞」も受賞し、二つの大賞に輝きました。中城ふみ子賞は8月3日に、まひる野賞は8月20~21日にそれぞれ授賞式が執り行われました。
<田村ふみ乃さんのコメント>
短歌という小さな器に気持ちを込めて、自分の存在を示すのは難しいことですが、それまで気が付かなかったこころの声を聴くことができます。短歌の器は一首31文字と小さくても、哀しみや苦しみ、あまり人に話せないようなことをしっかり載せる深さがあるのです。大人になっていくほど、深まる孤独があります。そこから目をそらさずに自分と向きあうことで、また短歌の世界はひろがってゆきます。
誰でもその時の自分の気持ちを的確に表すなんて、そんな簡単にできることではありません。だからつい、うれしい、悲しいと言ってしまいがちです。その場はそれで良くても、なにか物足りないなと、思うことが私にはよくありました。そこで<わたし>と本当につながることのできる<ことば>を探し始めたのです。
その作業は、すぐに完了するものではありません。長い時間が必要なこともあります。ですが、真剣にことばに向き合うことで、その思いにぴったりはまる一言に出合えたとき、大げさかもしれませんが、生きていることの素晴らしさを感じるのです。歌作りを通して、どんな試練も少し大きな気持ちで受け止められるようになった気がします。
これから学生の皆さんが社会に出て、年齢や考え方の違う人のなかで自分の思いを伝えてゆくことは、たいへんだと思います。ですが、まずは、やさしい気持ちで内面に目を向けて、こころのささやき声を短歌にしてみようかと、少しでも興味をもっていただけたらうれしいです。これからも読者とこころが重なるような歌を作っていければと思っています。