武庫川女子専門学校二期生が遠隔授業で学生にメッセージを送りました
2020/07/06
武庫川女子大学の前身である武庫川女子専門学校の卒業生で91歳の伊富貴久子さん(被服科 1950年卒)が、共通教育の遠隔授業でインタビューに答え、学生にエールを送りました。
武庫川女子専門学校は1946年に開学。国文科、家政科、被服科、英文科の4科をそろえ、戦後の女子高等教育を牽引しましたが、武庫川学院女子大学(現武庫川女子大学)の開学に伴い、5年で廃止されました。
伊富貴さんは6月29日と7月6日の2回、インタビューと原稿作成について学ぶ講義に協力しました。教員が電話でインタビューを実施。学生はその音声を聞いて追加質問を考え、伊富貴さんがあらためて回答しました。
インタビューで伊富貴さんは戦争中、学徒動員で工場に駆り出され、ほとんど学校で勉強できなかったことや、食べるものがなく、空襲におびえて過ごした日々を回想。17歳で終戦を迎えたものの、「学び直したい」「学校に行きたい」という思いを断ち切れず、「嫁入り道具はいらないから学校に行かせて」と両親に懇願し、武庫川女子専門学校に進学した経緯を語りました。
女専時代の思い出として、被服科で浴衣の早縫い競争をしたこと、『源氏物語』の授業が聞きたくて国文科の教室にもぐりこんだこと、修学旅行で銀座を訪れたことなどを振り返り、「学校という空間にいられることが涙が出るほどうれしかった。黒板や机やいすがあって、そこで立ったり座ったりすることが楽しかったんです。学校の空気感がすごく大切なことだとわかりました」と話しました。
学生へのメッセージとして、「私たちの世代は戦争を経験したからこそ、普通の暮らしの幸せを、毎日、かみしめることができました。平和ないい時代にあなたたちは青春を迎えることができて幸せだと思います。この時間を大切に、悔いのない青春を送ってください」と呼びかけました。
学生からは「聞きながら泣きそうになった」「望んでも多くの人が勉強できなかったなんて想像できない。勉強できる喜びを大切にしたい」「コロナが終息に向かい、当たり前が戻りつつある今だからこそ、大切なことを見つめ直すきっかけにしたい」などの声がありました。
写真は2016年、卒業生座談会に参加したときの伊富貴さん、武庫川女子専門学校時代の集合写真、遠足の写真