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活躍する卒業生#43 「Revery Chair」経営 椅子張り職人 新子真希さん(生活環境学科建築デザインコース2007年卒)

2024/05/13

「古い椅子や思い出のソファーを再生してくれる」と、口コミやテレビで話題となり、予約が半年待ちの人気工房「Revery Chair」。その経営者兼職人である新子さんは、「家具の中でもカラダに密着する椅子は、使っていた人の思い出と結びつき、愛着が深い。小さくても存在感があるのも魅力」と、椅子への思いを語ります。

 

住宅設計を目指していた新子さんが、「図面を引くよりも、実際に手を動かして“創る”仕事がしたい」と、自分の適正に気づいたのは学生時代の終盤でした。高等技術専門校に進み、木工家具を“創る”技術を修得。飛び込みで門をたたいたのが大阪市内の椅子張り工房でした。

 

釘を打ったり極太の針を刺したり、麻紐を引っ張ったりと、力仕事が多い“椅子張り”は男性主体の業界。新子さんの熱心さに当初、工房側は「試しに来てみたら」と半信半疑でしたが、覚えの良さと器用さで、「見込みがある」と評価され、仕事を任されるように。女性では珍しい「椅子張り技能検定2級」に挑戦し、椅子張り技能士に認定されました。

 

何気なく体を預けている椅子ですが、座面の仕様は様々。最近は簡易なバネやゴムベルトを仕込んだ椅子が主流ですが、昔ながらの椅子は複数のコイルを麻紐で止め、パームヤシや馬毛など自然素材のクッション材を縁に縫い込む“下ごしらえ”が違うそう。「下ごしらえがよければ椅子は100年でももつ。ヨーロッパでは椅子が何代にもわたり、受け継がれています。捨てると環境にも優しくないので、張り替えて使い続けられることを知ってほしい」と新子さん。数ある家具の中で、椅子に傾倒したのは「個性的な椅子がキャンパスの各所にある武庫川女子大学で過ごした影響かも」と微笑みます。

 

2013年に独立し、奈良にアトリエを構えました。仕事は依頼者の希望を聞くところから椅子の受け取り、納品まで1人で。忙しくて徹夜する日もありますが、「お客様と直接やり取りでき、喜びがじかに自分に届く。その分、責任もかかりますが、仕事のペースを調整できる自由度もありますね」。

 

最近、アトリエの横にアンティークの雑貨などをそろえたカフェスペース「more revery」をオープンしました。「衣食住を通して、ものを大切にする暮らしのコンセプトをみんなで発信する場に育てたい」と新たな夢を語る新子さん。今秋、母校で開催する「第2回武庫女ビジネス・コンテスト」では、講師、審査員として後輩たちの夢にアドバイスを送る予定です。

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