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【先生の研究力#12】食物栄養学科 絹田皆子講師 母校の教員として、ICTを活用し、楽しみながら学べる栄養教育の教材開発に挑む。

2026/06/23

クラシックバレエに打ち込んでいた少女時代、食事制限や体型管理の大変さを身をもって知った。「健康に食べる」ことへの関心が高まり、管理栄養士養成に定評のある武庫川女子大学に進学。卒業から約20年後、母校に教員として戻ってきた。

母校が教員を公募していることは、イギリス・ケンブリッジ大学に留学中の2024年、一時帰国した際に知った。自分の卒業学科の募集。楽しかった学生時代の思い出がよみがえり、「帰ってくるならここしかない。チャンスだ」と胸が高鳴った。思いが叶い、教壇に立ったときは「めっちゃうれしかった」と笑顔を見せる。

 

現在取り組んでいるのは、ICT(Information and Communication Technology)を使った栄養教育の教材開発。制度的な「健診」から漏れがちな世代を対象に、ライフステージに応じた健康意識の啓発を目的としている。直近のテーマは、子どもたちの「噛む力」の低下だ。噛む力は食べることに直結するため、噛む力が衰えるオーラルフレイルは、全身の健康状態の悪化を招く。噛むことの大切さを低年齢から知ってもらい、親子ともに健康について学べるアプリの開発を学生と一緒に進めている。早口言葉や食べ物クイズ、動画を盛り込み、ゲーム感覚で取り組める内容だ。

着想は小学生の姉の歯が生え変わる瞬間を幼児の弟が目撃した、その様子から得たものだ。幼児にとって、「歯が抜ける」というのは非常にインパクトのある出来事。「健康な子どもが自発的に予防に目を向けるのは難しい。だからこそ、成長期ならではの変化をとらえ、自分の身体について考えるよう促せば、伝わりやすいのではないか」と考えた。

 

大学院時代から長く取り組んできたのは、疫学コホート研究だ。全国各地で地域住民の健診に携わり、健康状態をデータ分析してきた。そうしたいわゆる「足で稼ぐ」研究からICTに目を向けたのは、前職の岡山大学で島根県益田市民の健康データをデジタルで収集するスマートヘルスケア事業に参加したのがきっかけだ。ちょうどコロナ禍の影響で、他の多くの現地での調査・研究がストップした時期。現場に行かなくても、市民がIoT(Internet of Things)を活用した血圧計で測定した血圧データが自動で大学のサーバーに蓄積される仕組みは画期的だった。本人にとっても身体の状態を数値で『見える化』でき、ウェルビーイングにつながる。「スマホ一つで事足りる時代だけに大きな可能性を感じている」と言う。

 

絹田講師が主宰する研究室のゴールは「研究力」「コミュニケーション力」「国家試験全員合格」の3つだ。今年から開講したゼミに集まった4年生9人は、国試の準備と卒論の真っ最中。絹田講師は全員の進捗を丁寧にサポートしながら、「互いのプロジェクトに関心を持ち、みんなで取り組むように」と、チームプレーの大切さを呼び掛けている。

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