「豊かさとは物があることではなく、心が豊かなことだと実感しました」。青年海外協力隊での活動を終えた音楽学部のOGが帰国。
2010/08/25
青年海外協力隊でシリアに2年間派遣され、難民キャンプで子どもたちの音楽教育活動に携わってきた音楽学部のOG佐武奈津子さんが、活動を終え帰国しました。
佐武さんは、2008年3月に音楽学部声楽学科(演奏コース)を卒業。同年6月から2年間、シリアのアレッポにある2つのパレスチナ難民キャンプで、主に小中学校で音楽の授業やクラブ活動の指導を行い、子どもたちの音楽教育に取り組みました=写真はいずれもシリアで撮影=。
音楽などの情操教育が、後回しにされがちな難民キャンプでは、音楽の授業がない学校もあり、佐武さんは、音楽の先生のおられる学校では、先生と一緒に授業を運営し、そうでない学校では、音楽の授業を時間割に組み込むところから始め、先生として授業を受け持ちました。授業では、子どもたちの年齢やクラスの様子に合わせて、音符の読み方、五線譜の使い方を教えたり、歌や楽器の演奏の練習をしたりして、音楽の楽しさを伝えてきました。=写真左=また、現地の音楽の先生が授業を進める助けになるようにと手作りの指導テキストをまとめました。
学んできた音楽を生かした活動をしたいと参加した佐武さんは、「一番印象に残った活動は、小さな学校での音楽コンサートです。1年目は結果的には失敗でした。私自身がコンサート運営も初めてなのに、自分がやらなきゃ、と準備も練習も本番の作業も全部抱え込んでしまって、みんなを混乱させてしまいました」「でも、次の年は、授業以外にプライベートでも校長先生や他の先生方と、積極的にさまざまな話をするように心がけ、仲良くなれたので、多くの人の協力を得ることができました。コンサートも大成功で、子どもたちは、自分の演奏を友達や先生、家族に披露できたと喜んでいました」=写真中・右=「小さなコンサートでしたが、一人では何もできないことや、多くの人を巻き込んで、一緒に取りくむことで生まれる力を実感しました」「子どもたちの笑顔に、豊かさとは物があることではなく心が豊かなことだと感じました」と活動を振り返りました。
音楽学部に応用音楽学科ができたことについて、「学生時代に音楽を生かした活動を学べる場があるのは、うらやましいですね。学生の皆さんは、音楽を通じて、いろんな人との出会いや体験を重ねて、自分の可能性を広げてください」と話していました。