「小学校の先生は、社会で最も重要な役割を担う職業」―。教育学科の学生が、イギリスの研究者から『小学校教諭になったときに、どのような授業展開ができるのか』についての講義を受けました。
2012/03/01
特別学期の学科プログラムの一つで、教育学科の山崎洋子教授、矢野裕俊教授、大津尚志講師が担当する授業「イギリスの小学校教育から学ぶ」が2月28~29日に開講され、講師として招かれた英・サザーク地区のエヴェリン・ロウ初等学校前校長のゲイリー・フォスケット氏=写真右=と同地区教育委員会指導主事のクレア・スミス氏=写真中=が講義を行った後、学生約20人と意見交換しました。
28日は、スミス氏がイギリスの初等学校で取り入れられているPSHE(Personal, Social and Health Education:人格的社会的健康教育)と呼ばれる授業を紹介。PSHEの目的には、子どもたちが①自信や自分の価値を高めることができるようになること②友情と関係を発達させ、維持するための技能と他者に対する敬意を発達させること③市民として積極的な役割を果たすための準備をすること④健康的でより安全なライフスタイルを身に付けること⑤良好な人間関係を築き、「違い」を尊重することができるようになること―などがあります。
スミス氏は、PSHEを実践するための効果的な方法の一つは物語を使うことだとし、日本の伝統的な物語『桃太郎』を例に挙げて、家族、善と悪、友情、他人を保護することなどを物語から学ぶことができ、子どもたちが物語での経験を自分自身の経験に移すことができるようになると指摘しました。学生は、グループに分かれ、『ふしぎなたいこ』、『かにむかし』、『きかんしゃ やえもん』などの物語から、どのようにPSHEに取り入れることができるかのアイデアを交換しました=写真左=。
29日は、フォスケット氏が小学校校長を長年務めた経験から、教師に必要なものが何なのか、どのような役割を担うべきなのかについて、イギリスの教育政策や日本の教育基本法などにも触れながらレクチャーしました。フォスケット氏は、学生たちに向けて「小学校の先生は、社会で最も重要な役割を担う職業。それは子どもたちにとって小学校で過ごす6年間は自分の知能を育てる重要な時期だからです」「子どもたちが『学ぶことが好き(love learning)』になれるように導ける教師になってください」と話しました。
授業で使用された、両氏のレジュメは、山崎教授のゼミ生21人が翻訳しました。