子どもに生きる力を! 臨床教育シンポジウム「生きること、命を大切にすることの教育実践に向けて」が開催されました。
2007/12/08
臨床教育シンポジウム「生きること、命を大切にすることの教育実践に向けて」(大学院臨床教育学研究科/教育研究所主催)が12月8日午後、中央キャンパス・メディアホールで開催されました。いじめや自殺、殺傷事件など子どもの命にかかわる悲劇が絶えない中で、「生きる力を育み」「命の大切さを実感させる」教育の重大性が話し合われ、参加した教職関係者や保護者ら約100人は熱心に耳を傾けました。
心理・社会福祉学科の上地安昭教授(前兵庫県立心の教育総合センター所長)は「危機社会を生きる心の教育をいかに」と題して基調提言。子どもを取り巻く環境は情報化社会、個人主義社会の中で、現実感覚が希薄化し、規範意識が低下するなど、危機的な状況にあることを指摘し、兵庫県教育委員会の取り組む「命の教育」を紹介しました。
続くシンポジウム「生きる力を育む命の教育実践と成果」は、シンポジスト3人、指定討論者の兵庫県立西宮今津高等学校校長の木佐貫正博さん、教育学科の福井雅英准教授を迎え、司会は心理・社会福祉学科の河合優年教授で進められました。
シンポジストの西宮市立高須東小学校養護教諭で大学院臨床教育学研究科大学院生の加島ゆう子さんは、ゲームなどを通して「ライフスキル」(個々人が日常生活において直面する様々な要求や難題にうまく適応し、積極的に行動していくことが出来る能力)を育むプログラムの実践例を紹介。すべてのライフスキルの基盤は、自分に対して肯定的で、自分を価値ある人間だと思う健全な自尊心「セルフ・エスティーム」にあることを強調しました。
三田市立ゆりのき台中学校教諭の塚田良子さんは、道徳の時間で教師がいじめっ子といじめられる子を演じて、命の大切さを実感させる取り組みを行った事例を説明。この劇の後、「自分のやったことは、いじめだったと思う」と自らを振り返る作文を書いた生徒もあり、自分をしっかり見つめる良い機会になったと報告しました。しかし、中には、いじめを容認する子どももいるので、「全ての子どもが、いじめは絶対にいけないと思うようにしなければいけない」と訴えました。
兵庫県立加古川南高校教諭の原実男さんは「生をより深く認識するためには、死の認識を深める必要がある」として、「生と死の教育」の大切なことを指摘。「『生と死の教育』は学校教育を変える力を持つ。なぜなら、教師自身の生き方や人間観に変革をもたらし、それは必ずや子どもたちに影響するからです」と力を込めて話しました。
閉会後、大学院臨床教育学研究科の入試説明会が行われました。