＜日本語/English＞ 野球の聖地「甲子園」の付近に居住する人の意識を探る生活美学研究所のアンケート結果がまとまりました
2022/01/07
The results of a questionnaire by the Institute of Life Aesthetics, which explores the level of awareness of people living near the baseball sanctuary “Koshien”.
English below.
武庫川女子大学生活美学研究所が、西宮市の甲子園一番町から九番町の全世帯に住環境アンケートを実施。甲子園の“番町街”に住む人たちの住環境に対する評価とアイデンティティの関連性を考察して報告書にまとめ、森田雅子所長が1月4日、西宮市の石井登志郎市長に提出しました。
甲子園一番町から九番町は甲子園浜付近から2号線に至る南北の「甲子園筋」に沿い、最南の九番町から北に向かって数字が順に若くなります。大正時代、阪神電鉄が郊外型住宅地として開発。エリアのシンボルとして建設された阪神甲子園球場と合わせて、全国的に名の通った住宅街となりました。甲子園球場は七番町に隣接し、2号線を挟んで北には、帝国ホテルと並び称された旧甲子園ホテル（現在の武庫川女子大学甲子園会館）があります。武庫川女子大学は甲子園会館を所有し、甲子園球場に最も近く所在する大学として、甲子園という“聖地”に注目した研究を進めてきました。
今回のアンケートは、2019年度 基盤研究(C)「聖地研究 甲子園－聖地の生成と象徴性再生産プロセスに対する住民評価の研究」として実施。2020年1月から約１年かけて、このエリアに居住する ６，６４０ 世帯に2人分ずつ配布し、10歳代から80歳以上の各世代から計1870件（男性712人、女性1115人、無回答43人）の回答がありました。
アンケートは甲子園球場と甲子園会館への接触頻度や、「球場近隣住民であることは自慢できるか」「甲子園球場の景観への寄与」「甲子園会館の景観への寄与」「引っ越しの予定」など30問から構成し、二つのランドマークを居住者が暮らしの中でどのようにとらえているかを問いかけました。
「甲子園という地名は地域にふさわしいと思いますか」の問には、9割の人が「ふさわしい」と回答。地域の魅力として、アクセスの良さや生活の便利さに次ぎ、「全国レベルの聖地が身近にある」が挙がりました。「甲子園球場が景観に寄与している」と答えた人は8割以上でしたが、甲子園会館の景観への寄与については「とちらともいえない」と答えた人が目立ち、甲子園会館の存在を把握していない人も多いことがわかりました。
「甲子園球場・旧甲子園ホテルを中心として地域の誇りを高め、地域の活動を活性化するためにはどのような取り組みが望ましいでしょうか」という問いには、「街路樹整備」が943件と、全回答の半数を占め、「居住地域で困っている点」として、「カラスの被害」「マンションの増加」「騒音」などが多く挙がりました。
この結果から、森田所長は「このエリアは開発当初は甲子園筋に沿って緑地帯が南北に延び、豪邸が立ち並ぶ“お屋敷街”で、南北に走る路面電車や、阪神パークなど郊外生活を充実させる娯楽施設が充実していました。今回のアンケートからは、住民たちが時代とともにかつての面影が薄れていることを残念に思う一方で、甲子園という全国区の地名を持つことのメリットと誇りを感じていることもわかりました。さらに自由記述等の分析を進め、甲子園という聖地に暮らす住民の意識を解き明かしたい」と話し、石井市長と景観問題やインフラの整備について幅広く意見交換しました。
A questionnaire was distributed by Mukogawa Women’s University Institute of Life Aesthetics for all households from Koshien Ichibancho to Kyubancho in Nishinomiya City. A report was compiled regards to the relationship between the evaluations of the living environment of the people living in Koshien’s “banmachi-gai”. On January 4th, the results were submitted by Professor Masako Morita of MWU to the mayor of Nishinomiya city, Mr. Toshiro Ishii.
