◇活躍する卒業生11◇ URAHAKU社長 宮田加奈子さん(文学部英語文化学科2002年卒)
2022/04/28
附属高校から武庫川女子大学文学部英語文化学科に進んだ宮田加奈子さんは、クラシックのピアニスト2人とともに2021年11月、株式会社URAHAKUを起業しました。クラシック音楽を通して習得したからだの使い方やリズム感を、音楽だけでなく、健康やビジネスプレゼンテーションにも応用しようというコンセプトで、クラシックのコンサートとトークを組み合わせたイベントやセミナーを実施しています。武庫川女子短期大学の卒業生である母由美子さんとともに母校を訪れた宮田さんに聞きました。
URAHAKUとは裏拍のことで、アップビートや弱拍と呼ばれる拍子の取り方を指します。これに対し、「ダウンビート」は表で拍子をとる強拍です。
宮田さんは、「日本人は伝統的にダウンビート。このリズム感が音楽だけでなく、言語や身体表現にも影響しています。アップビートを意識することで、特に西洋の音楽であるクラシックの表現力は大きく変わります」と指摘します。宮田さんがそのことに気づいたのは、高校以来、20年ぶりに再開したピアノレッスン。全身の使い方を指導され、力が抜けて音が出しやすくなる体験をしたのがきっかけでした。「日本人は力をかけるとき、”手前に引く“。でも、クラシック音楽の国々は”前に回転させるように押す“というイメージです。さらに裏拍のリズムを意識することで、演奏ががらりと変わることに気づきました」。
ピアノを再開して数か月で社会人のコンクールで金賞を受賞するまでの腕前に。「力の抜き方、かけ方を変えることでリラックスでき、伸び伸びと活動できます。これはひょっとしたら日本人にとって、いろいろ応用のきくテーマではないか、音楽の領域だけにとどめるのはもったいない、と考えたんです」。健康増進はもとより、ビジネスにおけるプレゼンテーションでも「裏拍を意識することで、リズム感と説得力が生まれます」と話します。
大学卒業後は、在学中に培った英語力を活かして、ワシントンD.C.にある在アメリカ日本国大使館で2年間勤務。帰国後は映画の字幕翻訳者として独立したほか、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会で会長補佐を担当したという宮田さん。様々な経験を重ねる中で温めてきた「いつか起業したい」という夢が実現しました。
母由美子さんも1974年武庫川女子短期大学国文科卒で、母子2代の武庫女生でもあります。たくましく人生を切り拓く加奈子さんを微笑みながら見守る由美子さんは「私の頃は良妻賢母教育が主流でしたが、当時の学院長だった公江喜市郎先生の大きな愛情に包まれて、楽しい学生時代を過ごしました。こんなに立派な大学に発展してうれしいですね」。久しぶりの母校を母子で懐かしそうに見渡しました。