<日本語/English>武庫川学院の保育婦養成所出身とみられる卒業生のアルバムが母校に戻ってきました
2022/05/20
A graduation album from a graduate of 1945 have made its way home.
1945年の第2回卒業アルバムが見つかり、縁あって母校に戻ってきました。アルバムに記載されたメモから、1939年に武庫川高等女学校に入学して保育婦養成所に進み、1945年に卒業した卒業生のものとみられ、ほとんど記録に残っていない保育婦養成所につながる貴重な写真も含まれます。どのような経緯で手放されたかは不明ですが、終戦直前の武庫川学院を知る資料として、附属総合ミュージアムで保管され、研究に活用される見込みです。
アルバムのタイトルは「第2回武庫川高等女学校 2605」。古書として紹介されていたのを教育学科の教員が見つけ、広報室が入手しました。年号が2605年になっているのは、神武(じんむ)天皇が即位した年を皇紀元年(紀元前660年)と数えているためで、実際は1945年です。
当時、本学の卒業アルバムは写真と無地のアルバムを別々に配り、自由にカスタマイズする方式でした。ページをめくるとまず、今も学院記念館として残る木造校舎や、奉安殿前で正装した校祖・公江喜市郎先生の写真が現れます。それ以降はほぼ、本人の思い出集。集合写真からは、セーラー服におかっぱ頭の1年生から大人びた三つ編みの5年生に成長する様子がうかがえます。木造校舎をバックにしたテニス部、着物姿の観客も見える音楽祭、全学を挙げて行われた甲子園浜での水泳、畑作業――。当時の修学旅行先だった奈良や三重の写真もみられます。学校生活の活写とともに仲良しの友だちのポートレートや家族写真、卒業後の同窓会の様子も。
武庫川学院では戦争中、保育所ニーズにこたえ、1944年4月、保育婦養成所を開設。養成期間は1年間で、実習機関として保育所が開設されました。養成所は戦後、保育科となりましたが数年で姿を消し、実態はあまり知られていません。今回、150枚にのぼる写真の中には、少し年長の生徒たちが就学前の幼児といっしょに笑顔で写っている写真が含まれます。武庫川高等女学校の木造校舎を背景に、先生とみられる年配の女性を囲んで生徒と子どもたちが写っているものもあり、断定はできないものの、貴重な手掛かりになりそうです。
アルバムを移管された附属総合ミュージアムの横川公子館長は「初期の学院を知る貴重な写真集。初期のアルバムは断片的にしか残っておらず、今後、資料が充実していく端緒になれば」と話しています。