◇活躍する卒業生20、21◇PRプランナー:平山瞳さん(心理・社会福祉学科2010年3月卒)、「GROUNDS」共同代表:鈴木雪姫さん(健康・スポーツ科学科2017年退学)
2022/07/19
PRプランナーの平山さんと、「GROUNDS」合同会社でコーヒーカスの再利用を事業展開する鈴木さん。「武庫女」でつながり、仕事でタッグを組む二人に聞きました。
平山さんは小規模な化粧品会社で広報を担当した後、大手広告代理店に転職しました。大企業の広告費投下は桁違いで、中小企業との格差を実感。「広告費をかけられない小さな会社の商品や思いを世の中に届けたい」と、PR請負を副業でスタートしました。
新商品発売やイベントのタイミングに合わせてプレスリリースを作成し、影響力のあるメディアを呼び込むのがPRプランナーの腕の見せ所です。「発信源にエネルギーがないとどんなに巧みにPRしても人は動かせない。開発者に燃えるような熱があれば、心に響くストーリーが生まれ、伝え方次第で共感の“ラリー”がどんどん加速します」。
鈴木さんと出会ったのも、熱量に引き寄せられたから。「行きつけのコーヒーショップのバリスタから、偶然『GROUNDS』のことを聞いたんです。若い人がコーヒーごみの問題に向き合い、再利用に真剣に取り組んでいる姿に惹かれました」と平山さん。実はこのバリスタは『GROUNDS』のもう一人の共同代表。ほどなく鈴木さんとも出会い、同じ「武庫女」と知って意気投合しました。ちょうどコーヒーカスと牛乳パックを使った再生紙ブランド「CaffeLatte」を立ち上げるタイミングで、平山さんがPRを引き受けることに。
一方、鈴木さんがコーヒーの魅力に目覚めたのは、学生時代、ワーキングホリデーで訪れたオーストラリアで。味とコーヒー文化の奥深さにほれ込み、「体育の先生になりたい、という夢をコーヒーの魅力が上回った」と、卒業を待たずにバリスタの道に進みました。「地球温暖化が続くと、2050年にはコーヒーの生産量が半分になってしまうといわれています。私はおいしいコーヒーを飲み続けたいので、コーヒーショップで1日3~4キロも出るコーヒーごみが気になって仕方なかった」と鈴木さん。同じ思いを持つバリスタと手を組み、2020年12月、「GROUNDS」を設立したものの、集めたコーヒーカスの乾燥、加工、配合バランスなど難題が続きました。試行錯誤の末、「CaffeLatte」から名刺やポーチなどの商品を発売したのが昨年秋。平山さんがメディアにプレスリリースを送り、新聞2社、テレビ2社ほかラジオでも取り上げられました。
「メディアに出るとwebのアクセスや問い合わせが増えて、広がりを実感します」と鈴木さん。事業は軌道に乗り、この夏は新商品発売や百貨店でのイベント販売が続きます。
商品からコーヒーの生産者までたどることができるトレーサビリティもストーリーに付加価値を添えています。「私たちの商品が、地球の課題を自分事として考えるきっかけになれば」と鈴木さん。平山さんは「これからもずっと支えていきたい」とうなずきます。
今年度から、武庫川女子大学で学生広報スタッフとの企業コラボをスタートしました。「武庫女のために何かしたい」と二人が呼びかけ、学生たちと定期的に打ち合わせを続けています。学生にとっては、二人の生き方、働き方そのものが「ロールモデル」です。まずは「GROUNDS」の商品を生かしたイベント実施が目標。新たなストーリーが始まっています。