大学院建築学研究科建築学専攻修士課程2年生が上甲子園キャンパスの竹を素材に茶室を制作しました。
2022/09/20
大学院建築学研究科建築学専攻修士課程2年生が上甲子園キャンパスの竹を素材に茶室を制作。27日まで兵庫県立美術館で開催中の「甲子園会館に学ぶ/甲子園会館で学ぶ」で展示しています。
建築学専攻修士課程では、1年後期と2年前期に 小規模な原寸大の空間の制作にチームで取り組む演習があります。展示しているのは 修士2年が2022年度前期に取り組んだ茶室2室「光渦庵」と「宵陰庵」です。
この演習では毎年、ユニークな素材やテーマで取り組んでおり、今年は上甲子園キャンパスの竹林から切り出した竹を素材に取り組みました。竹林の竹は太く、硬く、そのままでは利用できません。学生たちはまず、切り出した竹を細く切って幅1・5~2センチ程度に割く竹ひごづくりに取り組みました。2チームに分かれ、それぞれのテーマに沿って400~500本の竹ひごを使い、原寸大の茶室空間を設計・制作。「六つ目編み」や「荒編み」などで組み合わせて面を作り、約2か月かけて仕上げました。
「光渦庵」は、一見、巻貝の殻のような渦巻型。竹ひごの柔軟性を生かし、柔らかな曲面を表現しています。球状のうねりは奥まった床の間に収束し、客をもてなす落ち着いた場を作り出しています。
「宵陰庵」は、床柱に見立てた一本の太い竹を途中から細かく割いて全方位に広げ、球状の骨組みを構築。さらに竹ひごを組み合わせて面を密に編み上げました。
竹で作った2種の茶室は昼間は太陽光で内部に柔らかな影を作り、夜には照明を灯すことで行燈のような役割を果たします。「宵陰庵」は周囲を透ける素材の白壁で覆い、竹編みの繊細な編み目や内部の人影を投影するスクリーンのように楽しめるよう、工夫しています。
修士2年の大塚明日香さんは「竹の自然な形を生かすとともに、くぎを使わず、自然の素材が受け継がれていくことを目指しました」と話しています。