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活躍する卒業生38 株式会社ofa勤務 田村早帆さん(大学院建築学専攻修士課程2018年修了)

2023/11/07

六甲山頂を目指す登山客の憩いの場「六甲最高峰トイレ」の設計・意図伝達業務に携わりました。「現場が好き。手がけた建物は何度も見に行き、使われ方や改善点を考えます」。

 

田村さんが「ボス」と呼ぶ建築家・小原賢一氏と深川礼子氏が主宰する一級建築士事務所「株式会社ofa」(兵庫県神戸市)に学生時代からアルバイトとして参加し、2018年に入所しました。個人事務所を選んだのは「小さいアトリエだからこそ、一つの仕事を設計図を引くところから完成まで手掛けることができる。現場で職人さんたちと図面を見ながら創り上げていく手ごたえが魅力」という確信があったから。

 

入所してすぐ、六甲山頂のトイレと休憩スペース、園地を整備する「六甲最高峰トイレ」のコンペに駆り出されることに。景観との調和、環境への配慮、上下水をどう確保するか、国立公園内での申請、強度は――。大学院までの学びを総動員して取り組んだ大仕事は2020年、完成。いまや、登山客が「山頂以上にここを目指す」という人気スポットです。

 

その建物は風通しのよい大型のテラスのよう。特殊な建材(CLT)で長大な屋根を作り、折れつながるデザインが六甲山の山並みに溶け込みます。トイレの外壁を背もたれにして広く長いベンチを設置しているので、登山客はベンチに腰かけて弁当を食べたり、写真を撮ったりしてあと一息の頑張りに備えます。「大勢の人が思い思いに使ってくれていてうれしい。六甲山に在来種の植物を増やそうと、園地の植物の植え替え作業も進めています」。

 

この作品は日本空間デザイン賞、木材活用賞、iFデザイン賞2022など数多くの賞を受賞。JIA優秀建築選100にも選ばれ、いきなりの「代表作」に。

 

事務所の信頼も増し、マルチタスクに奔走する日々。岡山県真庭市のゴルフ場を公園に再整備したり、愛知県知多市でオフィス兼倉庫を手がけたり。今また3Dプリンターでモバイルハウスづくりに取り掛かっています。

 

公共物件を手掛ける際には地域の人とのワークショップも欠かせません。ホールを複合施設に改修する案を提示したときのこと。「反対意見も多かったのですが、子どもたちが『楽しみ!』とポジティブな声を上げてくれて場が和やかになりました。そういう交流が完成後の積極的な使用につながるんです」。

 

11月初め、久しぶりに母校の甲子園会館を訪れた田村さん。学生時代を振り返り、「一人一机のスタジオが与えられる環境は今思えば本当に恵まれていました。週1回のフィールドワークで様々な名建築に触れ、細かな工夫を子細に観察したことが何より良い経験になりました」と懐かしそうに語ります。今も時間があれば、同級生を誘って各地の建築を見学に行くそう。将来の夢を尋ねると、「実家の寺の母屋を改修すること」と、気負わない答えが返ってきました。

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