活躍する卒業生#45 フロンティア薬局管理薬剤師 伊藤(旧姓廣田)美桜さん(薬学部薬学科2020年3月卒)
2024/08/19
尼崎市内の住宅街にある薬局で管理薬剤師(薬局長)を務める伊藤さん。実はこの薬局、薬剤師をはじめ事務職員ら総勢7人のうち、5人が武庫女OGです。特殊なケースかと思いきや「初任地以来、4店舗目ですが、どこにいっても武庫女OGがいるんですよ」。薬学部開設62年の歴史が”活躍する薬剤師”の輪を広げています。
3年前、本学薬学科で有償制インターンシップがスタートした際、受け入れ先として多くの施設が手を挙げた背景には、こうしたネットワークの力がありました。薬剤師を目指す学生が低学年のうちに、薬局や病院でアルバイトをしながら現場を学ぶ有償制インターンシップは全国でも珍しい取り組み。伊藤さんも前任地で後輩の指導にあたりました。「薬学科は6年制なので、実習が始まる4年生まで座学中心の時期が長いんです。私たちのころは低学年で薬に触れる機会もなかったので、早い時期に現場を体験し、目標を具体的にイメージする機会があるのはうらやましい」と、母校の進化をたたえます。
中学生のころ、体調不良で薬に頼ることが多く、飲み合わせや効き目の説明を受けるうち、薬に興味を持ったという伊藤さん。化学や生物が得意科目だったこともあり、理系学部を中心に大学を探し、「オープンキャンパスでレンガ色の校舎に惹かれて」本学に進学しました。「でも、得意だった化学でいきなりつまづいて。大学と高校の違いを痛感しました」と、早々の挫折を経験。そのとき、「習熟度別の授業で分かるまで徹底的に指導してもらったことで得意科目に復活しました」と振り返ります。武庫女の魅力を「つまづいてもすぐ手を差し伸べてくれる手厚さ。施設のきれいさ。まじめで頑張り屋の仲間たち」と数え上げ、「食堂の長机にみんなで並んで自主勉強したり、六甲山が見えるフリースペースで教科書を広げたり。そう、トイレは全身鏡もあってお気に入りでした」と笑います。
勤務先に薬局を選んだのは「患者さんに継続して寄り添えるから」。昨年、異例の抜擢で管理薬剤師になり、医薬品の在庫管理から薬局運営まで責任は増しています。顔なじみの患者さんと笑顔で雑談を交わし、さりげなく体調を気遣う様子には余裕さえ感じられますが、まだ20代。「恩師に報告すると『あなたが薬局長なの?!』と驚かれましたが、自分でも想定外。多くの人に背中を押してもらいながら、なんとかやっています」。
忙しさの中でも最新の医療情報を得るため研修に足を運ぶ勉強家。将来のライフイベントも心に描きつつ、「女性の多い職場なので人生の先輩が多くて心強いです」と気負いはありません。「薬剤師の資格はたとえ一時期、現場を離れてもいつでも即戦力として戻ることができ、新たな方面にもチャレンジできる私のホームベースです。薬剤師国家試験の勉強は大変ですが、武庫女なら大丈夫。安心して夢を追いかけて」と、未来の後輩に呼びかけました。