活躍する卒業生#59 谷口真依子さん(文学部英米文学科2001年卒) 一級建築士として「JIA新人賞」を受賞
2026/04/21
才能ある新進建築家に送られる、日本建築家協会の第37回JIA新人賞を受賞しました。応募95作の頂点に立った受賞作は、夫と共同代表を務めるニジアーキテクツ一級建築士事務所で設計した戸建て住宅「段庭の家」。英米文学科卒なのにどういう経緯で?
「瓦屋根の施工を手掛ける父の影響で、建築は幼いころから身近でした。建築好きの父は、フランク・ロイド・ライトや安藤忠雄さんの話をよく聞かせてくれました。実家は斜面地に建つ注文住宅。扉も作り付けの家具も一つ一つ考えて作られており、建築家の思いがこもった住宅で育ったことも大きかったと思います」。
一方で、実家には海外からの来客が絶えず、谷口さんは年代も国籍も違う人達に囲まれてにぎやかに育ちました。武庫女OGの母や叔母の影響で、武庫川女子大学附属中学から附属高等学校へ。「大学は英米文学科に進んでアメリカ分校に留学しよう」と考えたのは、ごく自然な成り行きでした。
幼い頃から建築家への憧れがあり、「住宅に関わる仕事がしたい」とハウスメーカーに就職。「同年代の人が設計に携わっているのを見て、私もただ関わるだけでなく自分で設計がしたい!という気持ちが抑えきれなくなって」。26歳で会社を飛び出し、一から建築の勉強を始めました。建築系学部卒なら当時、実務2年で一級建築士の受験資格が得られるところ、非建築系学部卒の場合、先に二級建築士を取得する必要があり、一級建築士登録まで最短でも12年かかります。複数の設計事務所で実務経験を積み、試験はすべて一発合格。ハウスメーカーの実務4年を含め、卒業から12年で一級建築士にたどり着きました。
「建築のことを学べるのがうれしくて、楽しくて、ノンストレスな受験勉強でした。一級建築士の製図試験中に、ああ、これでもう勉強は終わりなんだ、と寂しくなったくらい」。実際、勉強中もコンペに応募し、最優秀賞を受賞したこともあるそう。
2014年に一級建築士の夫と設計事務所を立ち上げ、住宅のほか、低層のオフィスビル、保育園、食堂などを手掛けています。
今回受賞した「段庭の家」は周囲を家々に囲まれた袋小路の旗竿地。「光や風をどう呼び込むか」が最大の課題。3段の屋根上にウッドデッキを敷き詰め、南面にそそぐ日の光を家全体で受け止めるように設計しました。
「敷地条件や住む人、暮らし、法規と光、風、環境を読み解く」のが谷口さんの流儀。わずかな違和感も丁寧に感じ取り、住まう人にとっての最適解を見出します。だから施主さんとはビジネスを超えた絆が生まれます。「竣工後、家に遊びに行き、家が愛されているのを見るのがすごく幸せ」と笑います。
「中高大を通して、武庫女には違いを尊重する文化があった。それが自分の人格を形作り、施主さんの気持ちを慮る物差しにもなっている」と振り返り、「建築家になるまでの道のりは一見遠回りに見えますが、逆にその経験が自分の強みです。学生時代に答えが出なくても、考え続ける事に意味がある。もう遅いと諦めず、やりたいと思える気持ちを大切にしてほしい」と後輩たちに呼びかけました。





