【先生の研究力#2】食創造科学科 鈴木靖志教授(食開発学研究室) ラクトフェリンの大家が挑む“健康に生きるための食開発”。研究マインドで人生を豊かに。
2026/06/02
ラクトフェリン研究の第一人者。大学で農学を学び、就職したメーカーで食品開発に取り組んだ。高圧乳化など多数の特許につながる成果を上げたが、自社製品の「カップ麺」をすする日々は健康的とは言い難い。「栄養学を学びたい」との思いが募り、職を辞してアメリカ・カリフォルニア大学デービス校へ。そこで、母乳の世界的権威であるロネダール教授と出会い、母乳に多く含まれるたんぱく質・ラクトフェリンが赤ちゃんの体内でどう働くかを研究。小腸におけるラクトフェリン受容体を発見した。
帰国後は化学メーカーの「ラクトフェリン研究所」初代所長に就任。ラクトフェリンの修復機能に着目して肌を健やかに保つ研究を進め、基礎化粧品開発等に取り組んだ。製品のオールインワンジェルはロングセラーだ。
本学着任後はラクトフェリンの研究を続けつつ、「健康に生きるための食開発研究」をテーマに、学生を指導している。中でも適切な血糖値管理につながる食品開発は、企業との共同研究も多い。海苔の血糖値抑制効果を引き出した「スーパー海苔の佃煮」、朝食に食べると昼食後の血糖値上昇を抑える食品、おいしくて糖質をカットできるケトン食の開発など。骨格筋への糖の取り込みを促進し、血糖値の上昇を緩やかにする効果にも着目する。研究室では学生たちが血糖値を定期的に自己測定しながら、研究に余念がない。最近はZ世代の衣食住に対する購買意欲をテーマにマーケティングにも乗り出した。学生に呼びかける「なんでもこい!」は、研究を面白がる鈴木教授らしさの表れだ。
「興味があれば研究テーマはなんでもいいんです。ひとたび研究マインドが芽生えれば、日常生活でも『どうしてこうなるんだろう』と因果関係を意識するようになり、見える景色が変わります。見えないままでも生きていけるけれど、人生が豊かになると思うんです」。
一方で、食創造科学科の有志によるプロジェクト「MUSU」を率いて2年目になる。阪神米穀の全面協力により、おむすびの企画から販売、広報まで学生133人が携わる壮大なプロジェクトだ。その顧問的立場となれば、頭の痛いこともありそうだが、おおらかで笑顔を絶やさない鈴木教授はまさに「適役」。店舗販売に続き、学内販売も軌道にのってきた。


