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【先生の研究力#9】食物栄養学科 山本育子教授 1型糖尿病患者の負担を軽くしたい。その思いを研究につなげ、支援の力を明らかに。

2026/06/19

様々な合併症を引き起こす糖尿病。中でも1型糖尿病は若い人に多く発症し、意識障害を伴うケースも少なくない。インスリン療法が欠かせず、好きなものが食べられないストレスは深刻だ。

山本教授は病院の管理栄養士として患者の栄養指導に取り組む中で糖尿病患者に注目。2009年ごろから1型糖尿病患者の支援環境や心理的負担が病態にどのように関わるかについて、研究を続けてきた。

 

注目したのは周囲の支援と病態の関係だ。

 

1型糖尿病患者の心理的負担を、糖尿病問題領域質問票(PAID)で測定すると、負担感は総じて2型糖尿病より高い。ストレスの対処法(コーピング)は多様で、治療に積極的な人から自責の念にとらわれる人まで振り幅は広い。糖尿病は自己管理が治療の要となるため、本人の意志がなければ思うように進まないが、支援者の有無も大きく影響する。山本教授はPAIDの結果を「プラスコーピング」「マイナスコーピング」とグループ化したうえで、励ましや安心感など「情緒的支援」について、より詳細な検討を加えた。

 

栄養指導開始時と半年後の比較では、情緒的支援が多い人ほど合併症が少なく、病態を維持できていた。このことは、患者を取り巻く支援環境が病態やQOLに影響を及ぼす可能性を示している。治療継続後、自責の念や負担感が有意に下がったケースでは、医療者を「支援者」と捉える人が増えていた。罹病期間が長い患者では「支援者がいない」と答える人ほど、合併症を有する割合が高く、負担感も強い傾向がみられた。

 

この結果に「支援を高めることが解決のカギになる」と確信した山本教授。アンケートを通して、家族の思いと本人のニーズがかみ合っていないと気付けば、両者と別々に面談し、互いの気持ちを伝える役割を担う。患者会のサポート、糖尿病患者の集団指導も積極的に行っている。「病態の改善と患者さんのQOL向上に研究は欠かせない。実務に携わる人ほど大学院に進んで研究手法を身に付けるべき」と感じている。

 

管理栄養士を目指したのは「料理が好きで、食べることに興味があったから」。「研究」や「病院勤務」を具体的に意識したのは、大学1年のとき。病院の待合室で、見るからにむくみが強く、つらそうな様子の高齢女性と会話を交わし、「食事の力で病気の人を助けたい」と強く思った。

 

「食べることは生きることに直結する。学生には研究もできる管理栄養士となって、社会に貢献してほしい」と語った。

 

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