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【先生の研究力#10】食物栄養学科 前田晃宏准教授 学生手作りの「低アレルゲン化卵ボーロ」で小児科医と連携し、鶏卵アレルギーを克服。

2026/06/22

食物アレルギーは乳幼児で発症率が高く、日常生活に直接かかわる病気だ。食物アレルギーで苦しむ子供や保護者は、日本だけでなく世界に存在する。食物アレルギーと聞けば、“完全除去”を思い浮かべる人もいる。しかし、現代における食物アレルギー管理の原則は、“正しい診断にもとづいた必要最小限の原因食物の除去”である。医師の指示下で安全に食べられる量を調べ、決められた量を食べ続ければ、克服しやすくなることが明らかになっている。

 

一方、微量で症状がでる重症鶏卵アレルギー患者の場合は、安全に食べられる卵の量が50 mgや100 mgとなることも多い。これらの量は家庭で計量が難しく、結果的に完全除去の対象となってしまう。当研究室では、片栗粉、砂糖、水飴、カボチャパウダーと加熱鶏卵粉末や低アレルゲン化卵白で“卵ボーロ”を作り、重症の鶏卵アレルギーを持つ子供がお菓子感覚で口にできるようにした。この低アレルゲン化卵ボーロは、本学学長の髙橋享子教授が開発したもので、研究室が継承し、2000年頃から医療機関との共同研究を続けている。

 

卵ボーロの研究で実施したアンケートでは、卵ボーロを喜んで食べる子供がいる反面、卵ボーロが嫌いな子供もいることも浮き彫りになった。また、別の調査では、医師が保護者の負担をできるだけ減らしたいと考え、“週に2日摂取させてください”と指示したが、保護者の中には“毎日摂取の方が忘れないのでよい”と考える方もいたと報告された。この報告を聞き、卵ボーロによる治療が鶏卵アレルギーの子供やそのご家族に役立っているかを客観的に評価する必要があると考えた。その前段階として、当研究室は医療機関と共同で、保護者の食物アレルギー治療に伴う負担感を測る質問票を作った。現在はその質問票を使って、卵ボーロによる治療に伴う負担感の軽減効果を検証している。

 

ここ10年で、木の実類を原因とする食物アレルギーの新規発症者数は増えており、特定原材料として2023年はクルミ、2026年はカシューナッツが追加された。「急増する木の実アレルギーの要因を見出すことで、新規発症を一人でも減らしたいです」と語り、家庭内ハウスダストに含まれる木の実類混入量と木の実アレルギー発症の関係について、医療機関と共同で研究を進めている。

 

これまでの研究を振り返り、「学生が作った卵ボーロで鶏卵アレルギーが治ったら画期的だと思いませんか。学生と研究を続け、学生の頑張りを成果 (論文) として残るようにしたいです。学生が『これ、私が大学で研究した論文』と周りに自慢できたら」と述べつつ、大学での研究の魅力を「予想した通りの結果が得られた時や、新たな仮説を思いついた時もありますが、研究を進める中で学生が成長する姿を間近で見ることができることが一番です」と目を輝かせた。

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