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動画ニュースで紹介。童謡詩人・金子みすゞの世界を、ゆかりの学生詩人が語る集い『金子みすゞの世界と私』が開かれ、学生広報スタッフが取材しました。

2011/06/01

 今、再び脚光を浴びている童謡詩人・金子みすゞの世界を、みすゞゆかりの学生が語る集い『金子みすゞの世界と私』が5月28日午後2時から、中央キャンパスのマルチメディア館・メディアホールで開かれました。学生が自らのミッションを同じ学生に語りかけるという珍しい企画で、学生だけでなく一般の方も含む約60人が静かに、熱心に耳を傾けました。

 ※集いの映像を本ホームページの「動画ニュース」に掲載しました。

学生手作りの集い
 語り手は、詩集も出版するなどして、詩人としても活躍している文学部教育学科4年生の佐々木佳子さん(21)=写真左=です。佐々木さんは、金子みすヾ(1903-1930年)と同じ山口県長門市の出身で、幼い頃から、みすヾに親しみ、2000年に「みすゞ児童作品コンクール」の自由詩の部門で、最優秀賞と最高の賞である大賞を受賞しました。司会は日本語日本文学科4年の松島めぐみさん=写真右の舞台上の右端=、機器操作は生活環境学科4年、藤田悠花里さん=同2人目=が担当しました。

 集いは、佐々木さんが河内鏡太郎教授(図書館長)=同左端=と対談しながら、数多くのみすヾの作品を紹介し、その魅力や作品の背景を考えるという形式で進められました。

みすヾの心を育んだ仙崎の風土
 佐々木さんは、みすヾと自分の故郷である長門市仙崎の写真などをスクリーンに映し、「昔は鯨漁の盛んなところでしたが、今もなお、鯨の命をいただいたことに感謝し、鯨の法要を営んでいます。このような地で、みすヾさんは育ちました」とみすヾの歌の生まれた風土を説明しました。

 続いて、みすヾの詩の「弁天島」「大漁」や、佐々木さんが大賞を受賞した作品「一つのお空」などを、感想をまじえながら紹介。「震災では、私は力になれませんが、言葉は届きます。皆さんも、詩を書かれませんか。言葉を大切にし、世の中を、皆さんの言葉で一杯にできたらいいなと思います」と、参加者に詩作を勧めました。

みすヾの詩「このみち」を被災地に送りたい
 最後に佐々木さんは「被災地に、みすゞさんの詩『このみち』をお送りしたいと思います。みなさんと一緒に朗読しましょう」と呼びかけ、会場の全員で詩を読み上げました。
 <このみちのさきには、なにかなにかがあろうよ。 みんなでみんなで行こうよ、このみちをゆこうよ。>

 佐々木さんは「人はみんな、辛いことや悲しいことを抱えて生きています。被災者の方たちはもう十分に頑張っています。だから、『頑張って』ではなく、この詩のように『大丈夫。この先はきっと、何かがありますよ』と呼びかけたいと思います」と締めくくりました。

学生広報スタッフの取材レポート
佐々木さんにインタビュー

 この集いを、学生広報スタッフの生活環境学科4年、山口ありささん=写真中の右から2人目=と同学科3年、橋本冴代さん=同右端=が取材、閉会後に佐々木さんにインタビューしました。

Q:詩は、どのような時につくられますか?
A:お風呂の中などで、ふと浮かんだ言葉を、ルーズリーフに書き留めます。ほとんどの詩は、普段の何気なく思いついたことを、日記を書くような、写真に撮るような感覚で作っています。

Q:今後も詩の制作を続けていきますか?
A:歌を歌うことが好きなので、歌に出来るような長い詩を作りたいと思っています。
  
Q:金子みすゞの詩の影響は受けていましたか?
A:直接的な影響を受けてきたとは思っていませんが、みすゞさんと同郷なので、幼い頃からみすゞさんの詩には親しんできました。私は人の真似をするのが嫌なので、自分だけの詩を書きたいと思っています。

 日常の、何気ない生活の中で、思いついた言葉を紡いでいくという佐々木さん。この日、佐々木さんの自作の詩の中から、学生に馴染みのあるエンピツをテーマにした詩を紹介します。

  働きもの
  僕の手の中
  あの子の手の中
  カリカリせっせと働いて
  いろんな思いを形に変えて
  僕のきもちを届けてくれる
  文字となって届けてくれる
  痛くないのかなぁ
  疲れないのかなぁ
  どんな時もいつだって
  僕のえんぴつ働きものだ

 エンピツの視点になって書いていることに、斬新な印象を受けました。土や雪、動物など自然や生物を暖かく見守る、みすゞの優しい眼差しに通じるものがあるような気がしました。

参加者の感想
 集いに参加した佐々木さんの友人の学生2人に感想を聞きました。教育学科4年の戸田ももさんからは「佐々木さんは感性豊かで、人の細かいところまでよく気が付く人です。佐々木さんならではの感性で、日常の中から思いついたことを詩にするからこそ、今の私たちや女性たちに響く詩が書けるのだと思いました。是非、じっくりと佐々木さんの詩の本を読みたいと思いました」という心のこもったメッセージをいただきました。
 同4年の佐々木彩花さんは「この集いを開くまでに、佐々木さんは、ものすごい努力をしていました。その様子を見ていたので、とても感動しています。金子みすゞさんの世界観の中に、佐々木さんの思いが込められていて、ものすごくあったかい気持ちになりました」と話していました。

取材後の感想
 佐々木さんは、詩という形で自分の思いを人に発信しています。今回、金子みすゞと佐々木さんの詩を知る機会をいただいて、生きとし生けるもの全ての命の大切さや「一人じゃないんだよ」とやさしく語りかけるようなメッセージを受け取りました。私は普段、詩を読まないのですが、二人の作品を見て共感する部分があったり、他人に対する思いやりなど自分が忘れかけたことをハッと思い出させたりしてくれました。また、その気持ちを大切にしたいと感じました。佐々木さんは「詩というものを身近に感じてほしい」と言われていました。みなさんも自分の好きな詩を見つけたり、日記を書くような感覚で詩を書いたりしてはいかがでしょうか。(山口ありさ)

 佐々木さんのお話を聞いて、佐々木さんから「金子みすゞのことが好き」「この人の魅力をもっと伝えたい」「たくさんの人に知って欲しい」という気持ちが伝わってきました。今まで、詩に触れる機会はなかったのですが、佐々木さんと金子みすゞの詩の世界を知ることが出来て、良かったです。詩作は難しいと思い込んでいましたが、身近なことをテーマにしていることを知りました。そして、雪の上だけでなく、下や中の雪にまで思いやる視線は詩人ならではのものだと感じました。(橋本冴代)

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