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動画ニュースで紹介! 再生可能エネルギーの活用や省エネルギーの推進について考えるシンポジウムが開かれ、学生や生徒らが専門家と一緒に環境問題を考えました。

2012/11/26

 環境シンポジウム『みんなで再生可能エネルギー・省エネルギーについて考えよう』(主催:武庫川学院、後援:西宮市、協賛:阪神電気鉄道)が11月20日午後、中央キャンパスのメディアホールで開催されました。学生・生徒や教職員、一般市民など約300人が参加し、パネリストによる再生可能エネルギー活用事例の報告などに熱心に耳を傾けました=写真右=。

 11月26日、シンポジウムの動画を動画ニュースに掲載しました。

 武庫川学院は2008年5月、「武庫川女子大学環境宣言」をし、学院全体で環境保全に積極的に取り組んでいます。シンポジウムは、その一環として企画、大学放送部の橋本雛さん(情報メディア学科1年)が司会をしました。

 冒頭、糸魚川直祐学長は「環境問題のキーワードは個性だと思います。これまでは、環境は大企業などが行う巨大なイメージでしたが、これらは明らかに行き詰っています。これからは、一人ひとりが、自分の、個々の問題として考え、自分の考えで、自分の出来る範囲で、個性が生きる形で取り組んでいかなければなりません。今日は大ベテランの先生方と本学の学生・生徒が一緒になって、環境問題を考えたいと思います」とあいさつしました。

基調講演『再生可能エネルギーへの期待と課題』京都大名誉教授の芦田譲氏
 京都大学名誉教授でNPO法人「環境・エネルギー・農林業ネットワーク」理事長の芦田譲氏=写真中=が『再生可能エネルギーへの期待と課題』と題して基調講演しました。石油生産のピークはすでに過ぎ、石油はあと40年で、ウランも75~100年で枯渇するなど、枯渇性エネルギー(化石エネルギー)には限りがあることを指摘。利用しても比較的短期間に再生できる、枯渇しない再生可能エネルギー(自然エネルギー)の活用が大切であるとし、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなど再生エネルギーの概要、長所、短所などを説明。「これからは、エネルギーの地産地消を図るべきです。一極集中ではなく、分散する必要があります」と訴えました。
新しい価値観と倫理観の確立を
 講演のまとめとして、「これからは、ゼロ成長の時代と考えるべきです。技術と資源は環境とのバランスが必要。二十世紀の大量生産、大量消費とは決別し、新しい価値観、倫理観を確立しなければなりません」と、意識を変えようと呼びかけました。
 さらに「現代の人類が抱える問題を解決する、一つの大きなレバーはありません。一人ひとりの意識という小さなレバーの積み重ねによって、初めて問題は解決できます。グローバルな問題を解決するためには、世界全体の共通の認識とコンセンサスが必要。日本人、アメリカ人、中国人という考えではなく、地球人という考えを持つ必要があるのではないでしょうか。今から、人類の基本戦略を考えないと、手遅れになります。過去は変えられないが、未来は変えられる。過去を教訓として、今から考えなければなりません」と指摘。
節約でエネルギー問題に貢献できる
 具体的な方法として「自給率を向上し、日本を工業立国に加えて農業立国、環境立国にすることが必要。少子化を前提として施策を立てることも大切です。滅亡の危機に瀕しているのは地球ではなく、人類です。そこで、今すぐにでも、私たちがエネルギー問題に貢献できることがあります。それは、節約です。みなさんも、とにかく節約してください」と呼びかけました。
芦田譲氏の資料

パネルディスカッション『我々の身の回りの再生可能エネルギー・省エネルギーへの取り組み』=写真左=
「西宮市の取り組み」西宮市環境局長・田中厚弘氏
 田中氏は、西宮市が2003年に行った環境学習都市宣言を紹介した後、ごみの焼却について、次のように説明しました。「西宮市は、西部総合処理センターと間もなく竣工する東部総合処理センターで、ごみを処理しています。ごみを燃やすときの焼却熱エネルギーを発電に利用し、2011年度では年間46GWhの発電電力量がありました。利用しなかった電力は電力会社に売っており、2億7200万円の収入になりました」。
田中厚弘氏の資料
「小水力発電について」エイワット事業開発部長・竹尾敬三氏
 竹尾氏は「水力は再生可能エネルギーです」と述べ、水の力で水車を回して発電する小水力発電について、全国各地にある施設をスクリーンに映しながら説明。さらに「水力は自然の循環を利用していて、24時間発電ができます。水車は昔から使われていて、技術が確立しています」と小水力発電のメリットを訴えました。
竹尾敬三氏の資料
「風力エネルギーのこれから」共立機工代表取締役・岩永康弘氏
 岩永氏は、風力エネルギーの資源量は19億KWで、太陽光エネルギーの10倍以上あることを紹介。その潜在能力をグラフやイラストを用いて、詳しく説明しました。将来的には、5メガワット級の発電システムを数十台備えた大型ファームを、洋上に設置するという目標を披露しました。
岩永康弘氏の資料
「地中熱からのプロポーズ」ジオシステム代表取締役・高杉真司氏
 高杉氏は、日本中どこでも利用でき、天候にも作用されずに安定的に利用できる再生可能エネルギーとして、地中熱を紹介しました。年間を通じて一定の温度である地中温度を空調に利用することで、節電ができるとし、「地中熱を利用した節電で、減・原発を!」と訴えました。
高杉真司氏の資料
「阪神電気鉄道の鉄道部門における省エネルギーへの取り組み」阪神電気鉄道車両部課長・谷山彰紀氏
 谷山氏は「鉄道はエネルギー効果が高く、環境負担の小さい交通機関である」と電車は省エネの乗り物であると強調。同電鉄は、電力を動力に変換する効率が高い“VVVFインバーター装置”や、電気ブレーキによって発生する電力を架線に返す“回生ブレーキ車両”などを導入していることを説明。阪神なんば線の新設駅の空調には、電力使用量の削減・昼夜使用量の平準化に配慮したシステムを導入し、ピーク電力の削減に貢献しているとし、今後は「駅などの照明を更新する際に、LED照明を順次導入し、さらなる省エネルギーを目指します」と話しました。
谷山彰紀氏の資料
「日本の伝統生活と省エネルギー」武庫川女子大学生活環境学部教授・大坪明氏
 大坪氏はイギリス民話『三匹の子豚の物語』を例に挙げ、「煉瓦の家が本当に良いという価値観は、西洋におけるモノの見方であり、安直な受容は大いに疑問を呈する必要があります」と指摘。近代の家屋は、環境の整備をすべて機械で行い、その結果、エネルギーをたくさん使う傾向にあるが、昔の家屋はエネルギーが使えない分、季節に合わせて建具を変えるなど知恵を絞り、自然を利用し省エネルギーであったとし、「もう一度その知恵を思い出してみては」と提案しました。
大坪明教授の資料
「今、すべきこと」武庫川女子大学附属高校う2年 上殿桃子さん、岸本佳奈さん、佐古田まいさん、谷口万由子さん、塗家郁さん、八尾望さん
 附属高校2年生の6人は、セブンイレブンやコープなどの企業が取り組んでいる運動を紹介しました。さらに、買い物時にマイバッグを持参する、食品トレイやペットボトルなどをリサイクルに出すといった活動を1日間実践。この結果、1世帯あたり平均で4.8kgのごみを削減できました。最後に6人は「実際にごみを減らす意識を持って一日を過ごしたら、ごみが減るという結果を自分たち自身で得ることができました。未来の地球で明るく暮らせられると同時に、より良い環境づくりに貢献できるよう努めていきたい」と締めくくりました。
附属高校2年生の資料
「武庫川女子大学~大学の省エネ活動と成果について」武庫川女子大学情報メディア学科3年、按察(あじち)志保さん
 本学で取り組んでいる省エネ活動と成果について報告。今年7月に「エアコンの設定温度緩和」「教室の消灯・エアコンの停止の徹底」「節水」などを全学生へ呼びかけた結果、エネルギー消費量は昨年7月より24.5%も削減できました。今後は、教室に授業の時間割を掲示して、空き時間にはエアコンを停止したり、照明の消灯したりすることを徹底。こうしたことを呼びかける学生のボランティア団体を結成することなどを提案。「これまで以上に大学全体で取り組むことが必要」と話しました。
按察志保さんの資料

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