甲子園会館の屋根瓦の修復は私たちに任せて! 建築学科の学生が伝統的製法で瓦づくりに挑戦しました。
2007/07/12
上甲子園キャンパスの「甲子園会館」の屋根に使われている緑色の瓦を、建築学科の学生が制作する授業が7月12日、行われました。授業で作った瓦の中の優れた作品は、実際に甲子園会館の屋根の修復に使用します。
昭和5年に建設された甲子園会館は老朽化が進み、保存・修復工事が続けられています。建築学科の教員らは甲子園会館独特の緑色=写真右=の屋根の風合いを再現するため瓦の研究を続けてきました。それを学生への教育に還元したのが今回の瓦制作です。
この授業は空間表現基礎演習の一環として行われ、京都・伏見の瓦職人・浅田晶久氏=写真中の左から2人目=が講師になりました。日本の歴史建築における美の重要な要素である瓦を昔ながらの製法でつくることで、建築を身近に感じてもらおうというのが狙いです。
学生たちは5日の授業で、粘土を固めて乾燥させた「荒地」を制作しました。この日は、この荒地を木の棒で叩いて、ひび割れに注意しながら形を整えていく「裏打ち」=写真中=。その後、水をかけて木の板で表面を滑らかにしていく「水撫で」。最後に瓦のサイズからはみ出た部分を大鎌を使って切り落として「荒地切り」=写真左=。この3工程をこなしました。今後の授業で、瓦を乾燥させ、緑色を出す釉(うわぐすり)をかけて窯で焼きます。
この製法は浅田氏の工場でも昭和40年代まで行われていましたが、現在はこの製法で瓦を作る職人はほとんどいません。学生たちは粘土で服を汚しながら、なかなか形がきれいに整わない荒地に悪戦苦闘しながらも、「貴重な経験が出来ました」「焼き上がりが楽しみ」などと話していました。
浅田氏は「最近、瓦屋根の建物がめっぽう少なくなりました。今回の授業で建築を学ぶ学生さんたちに瓦を身近に感じてもらい、将来この中から、日本の風土に合った瓦屋根の建物をつくってくれる建築家が出てくれれば嬉しいです」と眼を細めていました。