女子三段跳 学生記録保持者の陸上競技部 船田茜理さん(健康・スポーツ科学科4年)に聞きました。
2022/12/05
2022年8月7日に慶應義塾大学の日吉競技場で行われた、第17回トワイライト・ゲームス(主催:関東学連)で、日本歴代3位、学生新記録となる13m81(-0.2)※を記録した陸上競技部の船田茜理さん。急激に記録が伸びた背景や意気込みを聞きました。
陸上を始めたのは小学校から。6年生の時、走り幅跳びで4m13を記録。その時の同級生からの歓声がうれしくて、陸上を始めました。三段跳を始めたのは、高校生になってから。高校1年生のときは、怪我が続き、練習に身が入らない日々が続いていましたが、副顧問の先生との出会いが意識を変えました。「それまでは練習の意味を意識せず、指示されたことをこなすだけでしたが、副顧問の先生は、一人ひとりに練習メニューを組み、なぜこの練習をやるのか、意味や狙いまで説明してくれました」。すると、今まで辛かった練習が楽しく感じられるように。この経験から、「練習の意味や狙いを顧問の先生に確認するようになり、目的を持って練習に臨めるようになったと思います」。練習の質が上がったことで、記録も上昇。高校3年生でインターハイにも出場しました。「インターハイ後、大学でも陸上を続けたい思いが日に日に大きくなっていきました」と船田さん。実家から通えて、陸上ができる大学を探し、武庫川女子大学への進学を選択しました。
「大学入学時は、なかなか陸上競技部の活動に馴染めず、一人で練習を行うことが多い日々でした。2年生になるとコロナ禍となり、部活も停止。筋力やコンディションは維持したかったため、お母さんをおんぶして筋トレをしたり、おじいちゃんから自転車のチューブをもらって自作のトレーニング器具を作成したりと、コツコツとできることに取り組んでいました」。その甲斐あってか、2年生の終盤には全日本インカレで3位入賞。力が付いていることが実感できました。
3年生になり部活も再開してペースが戻ってくると、より質の高いトレーニングに取り組めるように。「自宅待機中の自主練ではフォームや身体の使い方など、手探りでしたが、部活再開後は、コーチの伊東太郎先生に相談ができ、記録も伸びていきました。部の仲間から、客観的なアドバイスやコミュニケーションがあることも楽しく、部活へ参加する頻度も上がっていきました」。
今年8月、トワイライト・ゲームスで学生新記録をマークしたときの心境を尋ねると「その日は、伊東先生の帯同がなく、一人で臨む初めての試合でした。方向音痴の自分は、慣れない東京の地下鉄を乗り継いでやっとの思いで、会場の慶應義塾大学の日吉キャンパスへ到着。実は、会場に着けたことに安心して、あまり気負わずに臨めたのが良い記録につながったのかもしれないですね」と笑顔で話しました。
コーチである伊東教授のことを尋ねると、「選手の感覚を信じてくれるコーチです。疲れが溜まり怪我の不安を伝えると、ちゃんと休むことを勧めてくれます。怒っているところを見たことがないです。話しやすくて、何でも相談できるのがありがたいですね。記録に縛られず、競技を楽しむことを大切にしてくれるところが、信頼できる理由の一つです」と師弟愛を感じられる話をしてくれました。
進路のことを尋ねると「今、三井正也教授のゼミで卒論に取り組んでいます。研究テーマは『なぜ自分の記録が1年間で63cmも伸びたのか』。感覚だけではなく、科学的にも分析していきたいです。陸上を続けていくため、大学院への進学を目指しています。自分は新しい環境へ適応するのに時間がかかるため、今の環境で2025年の世界選手権を目指して行きたいと思っています」と語りました。
※向かい風を「-」、追い風を「+」と表記