武庫川女子大学の産学連携プロジェクト「ローソンプロジェクト」で、本学学生と高校生が店舗建設候補地の明舞団地(神戸市・明石市)を視察。
2025/07/10
武庫川女子大学が株式会社ローソンと連携し、2050年の未来社会の課題を解決し、地域創生を目指すコンビニエンスストアを構想する「ローソンプロジェクト」で、本学経営学部の学生と武庫川女子大学附属高校の生徒が、ローソン店舗建設候補地の「明石舞子団地(以下、明舞団地)」(神戸市・明石市)を視察しました。
明舞団地は昭和35年(1960年)から昭和47年(1972年)にかけて開発された神戸市垂水区と明石市にまたがる南北約3㌔、東西約1㌔、約197㌶のニュータウン。団地では、住民の高齢化や人口減少が進みつつあり、兵庫県などによる活性化に向けた取り組みが行われています。団地での店舗建設については、学生、生徒たちは団地再生に取り組んでいる兵庫県の担当者から講義を受けた後、5月28日には、SAPジャパンのインダストリーシニアアドバイザー、浅井一磨さんが実施した明舞団地を活性化させるための解決策を導き出すためのデザインシンキングワークショップを受講しました。浅井さんは「参加した学生や生徒が自身の問題として捉え、明舞団地の住民や周辺の方々の本当のニーズを深く把握し、解決策を導き出すことを目指している。ワークショップでは団地周辺に住む人たちの顧客モデルを掘り下げる作業を進めました。現地視察により、参加者がさらに具体的なイメージを持ち、課題の掘り下げや新しいアイデアの創出が期待される」と話しています。
団地の視察は6月18日に行われ、経営学部の学生(3年)は、団地内のふれあい・コミュニケーションの場となっている「めいまい図書室」で、兵庫県住宅供給公社の元職員で明舞団地の再生業務に取り組んできた神吉竜一さんから、団地の概要や住民の高齢化など団地の現状、再生への課題などについて説明を受けた後、神吉さんの案内で団地の視察を行いました。学生からは「思っていたより、街並みが明るかった。もっと暗い感じがしていた」、「坂が多くて、人が集まるのはたいへんだな、と思った」、「団地がこんなに広いとは思わなかった」などの声が聞かれました。
神吉さんは「ローソン社が目指されるローソンタウン構想は、すでに存在するデジタル(先端技術)とアナログ(人の繋がり)をバランス良く融合させた現実的なもので、そこに学生の持つ視点や感覚が加味されて実現に至るなら、明舞団地のみならず日本の社会課題へのアプローチモデルとして大きな価値とインパクトがあると感じます。視察当日、学生の皆さんは真剣に耳を傾けてくださり、実際に団地内を歩くことで、社会課題の根っこの部分と団地及びそこに居住する方々の雰囲気を感じ取られました。当日は団地居住者と学生の皆さんが直接、意見交換できる機会を作れなかったため、プロジェクトが実際に動き出す場合には、ローソン社、団地居住者、学生の皆さんが同じテーブルで意見交換し、SAP社のワークショップで出されたアイデアなどをブラッシュアップする場が調整出来れば、3者及び将来の明舞団地にとって、有益であると感じました」と話しています。
ローソンプロジェクトには本学学生、武庫川女子大学附属高校生徒のほか、洲本実業高校(兵庫県)、琴平高校(香川県)、相可高校(三重県)など本学と域学連携や包括連携を締結している県内外の自治体の高校の生徒も参加し、高大連携を進めていきます。学生、生徒は、店舗開発手法などを学んだあと、店舗の出店を考える地方自治体のヒヤリング調査を実施して地域課題を明らかにし、年内中にその課題を解決し得る店舗を構想し、ローソン社に提案します。
プロジェクトを進める経営学部の谷口浩二助教は「このプロジェクトは、地域課題の発見とその解決策の創造を、教育の現場から実践していく新しい高大連携の形です。企業の知見を学び、それを地域に活かす循環型の学びを通じて、高校生も大学生も“社会に関わる力”を自然と身につけていきます。特に今回は、SAP社によるデザインシンキングのワークショップを通じてペルソナを設定し、その上で実際に現地を視察することにより、自分たちの想定したペルソナに近い人がいるのか、地域が抱える本当の課題は何かを深く議論しました。こうした現場での学びを踏まえ、夏休みからは明舞団地が抱える真の課題を解決しうる「ローソン」店舗の構想に入ります。自分たちのアイデアが形になるリアリティを持つことで、探究学習はさらに深まり、社会実装につながる力を養うことができると考えています」と話しています。