NEWS

文学部主催で山極寿一先生にご講演いただきました。

2025/12/09

武庫川女子大学文学部主催の学術講演会が12月3日、中央キャンパスで行われ、総合地球環境学研究所 所長・京都大学前総長の山極寿一先生が「人類の進化と文化のミスマッチ」と題した講演を行いました。

 

山極先生は初めに、「人間の定義を知るために、サルを研究することにした」と研究のきっかけを話し、人類の思想や革命、科学などの発展を振り返り、「これらの発展に反し今でも世界では争いが絶えず、地球が人間にとって生きづらい星になりつつあるのはどうしてだろう」と問いを投げかけました。

続いて、「人々は科学の正の意味にしか目を向けず負の遺産から目を逸らす一方で、フィクションを信じ技術の暴走を止められなかったのではないか」と語り、「今こそ『パラレル・ワールド』というフィクションをもう一度考え直す必要がある」と述べられました。

 

人類の進化として、人は直立二足歩行の力を習得して草原へ飛び出し、大きな脳を得てユーラシア大陸に進出し、ことばを得てより遠くの未開の土地を切り開いてきたとされています。

山極先生はその事象に触れ、「科学から事実は発見できるけれど、どうしてそのようになったのかという真実は見つけることができない」と話します。講演では、さまざまな「フィクションを交えた仮説」を論じ、科学的な研究結果から発展した先生の推測に、参加者は興味深くうなずきながら聴講しました。

 

講演の最後には、「科学者が科学的な知識を与えても問題を解決することにはならない。しかしながら、ことばによって表現できないもの(パラレル・ワールド)を描いてきたからこそ、われわれはさまざまな世界を想像することができる。それにより日常世界を確固なものにすることができた」と締めくくりました。

 

講演会のあいさつで、郡千寿子文学部長は「なぜ文学部の講演会で理学博士の先生が、と思われるかもしれないが、山極先生のご研究はわれわれ文系の研究に通ずるものがあります」と話し、科学と人文学の各々の社会における役割を考えていく講演会になりました。

 

講演会終了後には、山極先生に直接感想を伝える参加者の方が多く、「とても刺激を受けた」「勉強になることばかりでメモしきれないほどだった」などの声が聞かれました。

MUKOJO SNS

  • 武庫川女子大学 武庫川女子大学短期大学部のFacebook
  • 武庫川女子大学 武庫川女子大学短期大学部のtwitter
  • 武庫川女子大学 武庫川女子大学短期大学部のLINE
  • 武庫川女子大学 武庫川女子大学短期大学部のinstagram
  • 武庫川女子大学 武庫川女子大学短期大学部のyoutube
  • 武庫川女子大学 武庫川女子大学短期大学部のtiktok
CLOSE