訪問看護の魅力とは
2020年4月に武庫川女子大学訪問看護ステーションが開設されます。
訪問看護の魅力をお伝えするため、訪問看護ステーション設置準備室室長で、訪問看護師の中村 希久子さんにお話をうかがいました。
訪問看護ステーション事務室は
武庫女ステーションキャンパス・アネックスIIにあります
阪神電車の車内にも掲示されているポスター
― 訪問看護のお仕事について教えてください。
訪問看護は、治療や介護が必要な利用者の方やご家族と相談しながら、おひとりおひとりが地域で安全に過ごすために一番いい方法を考え、看護を提供する仕事です。
一般的に、訪問看護ステーションを利用されるのは要介護度が高い高齢の方が多いです。インスリンの自己注射ができない糖尿病をもつ方、点滴、高カロリー輸液、酸素療法が必要な方などが利用されています。
― 中村さんが訪問看護師になった経緯を教えてください。
看護師になってまず、急性期病院の消化器内科病棟に勤め、がん看護などを経験しました。子育て期間は慢性期系の個人病院で、病棟だけでなく外来でも働きました。
入院患者さんの退院後の生活に関心を持ち始めたころに勤めた回復期病院で、退院支援に関わるようになりました。そこで、カンファレンスに参加する訪問看護師との「温度差」を感じることがありました。病院では糖尿病をもつ患者さんの血糖を測定し、インスリンの単位を決めて注射します。当たり前のようにしていたことですが、退院後、認知症のある患者さんは1人ではできません。病院と地域での看護の違いに気づきました。
こうして、退院後の継続看護が気になっていたとき、訪問看護ステーションに誘われました。訪問看護に携わるようになって、もう10年になります。
訪問看護ステーション設置準備室室長
中村 希久子さん
― 訪問看護の魅力はなんですか。
看護師の仕事のおもしろさがすべて詰まっています。病院で1人の患者さんに関われるのは分単位のことがありますが、訪問看護では1時間じっくり関わって、相手に合わせて工夫しながら援助することができます。
利用者さんを中心にした、ご家族、医師、ケアマネジャー(介護支援専門員)などで組むチームの一員として、関係の調整をしたり、時には利用者さんの気持ちを代弁したり、ぐるっと360度見渡し、看守ります。
医療者としてだけでなく、ひとりの人間として利用者さんやご家族に寄り添うことも大切にしています。
最初は1人ですべてやらねばならないというプレッシャーを感じていました。でも、訪問には1人で行くけれど1人ではない、サポートがあります。
― 武庫川女子大学訪問看護ステーション開設に向けて抱負をお願いします。
看護学部が主導する全国的にも珍しい訪問看護ステーションです。武庫川女子大学看護学部の先生方の熱意に惹かれ、自分も一緒に学ぶことができると思ったので、ここに来ました。
看護学部の先生方の熱い気持ちが形になった訪問看護ステーションで、愛情をたっぷり受けて誕生しました。さまざまな看護の分野の先生方から支援を受けながら、ステーションを成長させていかなければ、と思っています。
地域の皆様の健康に貢献するのはもちろん、看護教育や研究の場としても貢献できるようなステーションにしていきたいです。
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武庫川女子大学看護学部では「地域から学び、地域に活かす看護」を目指して、教育・研究に取り組んでいます。
「健康相談ひろば」や「まちの保健室」とともに、武庫川女子大学訪問看護ステーションもどうぞよろしくお願いいたします。