大学院生さん紹介 博士後期課程:飯田 恵さん

2025年04月14日


博士後期課程 飯田 恵さん
博士後期課程2023年度入学

経歴
京都大学医学部附属病院に就職後、副看護師長、看護師長、専従リスクマネジャー(GRM)、業務担当副看護部長を務め、現在、教育担当副看護部長(認定看護管理者)として現任教育に携わっている。大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻博士前期課程を修了し、2023年、本学の博士後期課程(基礎看護学分野)に入学、医療安全に関する研究に取り組んでいる。

Q.1 なぜ大学院に進学しようと思ったのですか?
修士論文のテーマをより深め、患者安全に向けてエビデンスに基づいた研究結果をまとめ、臨床現場に発信できる研究を行いたいと思いました。また看護管理者はPDSA(Plan-Do-Study-Act)サイクルを回し、質改善を行い、自施設の医療、看護の質を向上することが求められます。現状の課題を分析し、創造性を持ち、先の目標を見通した計画を作成すること、そして評価では得られた結果を分析し可視化する研究の視点が必要です。看護管理者としてこれらの能力を身につけたいと思い進学を決意しました。

Q.2 武庫川女子大学大学院を選んだ理由は?
臨床での実践につながる医療安全の研究ができる大学院をホームページで検索し、本学の個別相談会に参加しました。そこで教員に博士後期課程で行いたい研究についてお伝えしたところ、大変興味深く聞いて頂きました。相談している中で、自分では思いつかない多くのご助言があり、自身の研究の発想が広がっていくのを感じ、ぜひこの大学院で学びたいと思い選びました。

Q.3 大学院入試の受験勉強はどのようなことをしましたか?
博士後期課程では勤務を継続しながら限られた時間で研究を進める必要があることから、入学後、すぐに研究が進められるようにしておく必要があると感じていました。そこで口述試験対策として、文献検索を行い先行研究で明らかになっていないことや研究の新規性、具体的な研究計画をまとめプレゼンテーションができるように準備をしました。英語は医療、看護に関する長文読解の書籍で勉強をしました。

Q.4 博士後期課程で取り組んでいるテーマを教えて下さい?
テーマは「薬剤確認時の効果的なチェック方法に関する研究」です。投薬・注射エラーは死亡を含む大きな実害につながります。そのため多くの病院では注射薬確認時に、様々な方法により看護師2名でダブルチェックを行い、薬剤確認をしています。しかし手順は統一されておらず、どのチェック方法が有効であるかも明らかにされていません。安全性が高く、臨床で実効性のある薬剤確認方法の検証を行うための研究を行っています。

Q.5 どのように仕事と学習・研究を両立させていますか?
「この時期までにここまで進めておこう」ということを指導教員が示して下さるので、それに合わせて実行できるよう計画を立てて研究を行っています。しかし仕事の忙しい時期には計画通りにいかないこともあります。その時はあまり落ち込まず、するべき仕事をこなし、その後集中して研究を行うようにしています。

Q.6  大学院在学中の思い出を教えてください。
大学院で学ぶ看護教員や看護管理者、そして指導して頂く教員の先生方との会話はとても楽しく温かい気持ちとなる貴重な時間です。また全国調査でアンケート対象者や看護管理者の方から頂いた温かい励ましの記載やお手紙は忘れられない思い出となっています。

Q.7 印象に残った授業を教えてください。(どのような内容だったか、なぜ/どのような点が印象に残ったか、看護実践や研究にどう生かせそうかなど)
看護研究倫理特論の講義では、看護研究における倫理的配慮の重要性や倫理的課題に対応する方法について学ぶことができました。倫理指針や研究者としての責務、責任ある研究のための条件を学び、研究者として身が引き締まる思いでした。課題レポートでは自身の研究の倫理的課題と対策をまとめ指導も受けられたため、倫理的配慮について不足している点に気づくことができました。現在職場では、学んだことを生かし看護研究の委員や研究指導を行っています。博士後期課程の授業では教員の先生方の研究についても教えて頂く機会が多くあり大変興味深いものでした。

Q.8 大学院進学を考えている方へメッセージをお願いします。
私はこれまで臨床で働いてきました。臨床にはエビデンスが明らかにされていないまま行われていることも多くあり、疑問や課題を持っている方も多いのではないかと思います。大学院進学を考えている方で、まだ明確な研究テーマは決まっておらず漠然としている状況であっても、一度個別相談等を通して教員へ話してみるとよいと思います。話していく中で自身が追及したいことが整理されていくのではないでしょうか。私にとって大学院での経験は自分の人生を大きく変えるものでした。ぜひ勇気をもってチャレンジして下さい。


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